小学校「朝7時に開門」、小1の壁を解消へ"子どものためなら"と対応せざるをえない学校のしんどさも《高崎市と三鷹市で起きていること》

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そうなると早朝開門から授業開始までのあいだに子どもたちにトラブルがあれば、早めに出勤していた教員がいたら、その教員が対応しなければならないのだろうか。その疑問に対して、高崎市教委の答えは次のようなものだった。

「そのために先生方に早めに学校に来るように求めてはいません。早く来る先生もいれば、始業時間ギリギリに来る先生もいます。先生それぞれの働き方の考え方しだいです」

重ねて、トラブルが起きたときに教員が学校にいたとしたら、その教員がトラブル対応をしなければならないのか、と聞いてみた。

「目の前でトラブルが起きていれば、それを見過ごす先生はいないと思います。ただ、そういうケースに備えて先生方に早く来てください、と教育委員会として言っているわけではありません。先生方には、『今までどおり来ていただければ結構です』と伝えてあります」

早く出勤していれば、教員がトラブル処理にあたらなければならないようだ。その場合でも、教員に時間外勤務手当を支払うことは想定されていない。早朝開門にともなうトラブル処理が、教員の負担を増やすことになる可能性はあり、そこを教員が懸念するのも無理はない。

「早朝開門にともなうトラブル処理は、ほとんど起きないと思います。そういうレアケースの可能性としての質問ならば、負担はあるかもしれません。しかし教育委員会としては、目の前に子どもがいるわけだから、『トラブルに対応しなくてもいい』とも先生たちには言えません」

教員の超過勤務について文科省は、「教員の自主的・自発的な行為」と説明している。だから超過勤務ではないし、超過勤務手当を付ける必要もないと説明してきているのだ。それと同じことなのかと聞いてみると、「今も、そういうふうにお願いしています」との返事が戻ってきた。

教員多忙化の元凶がここにある

現在行われている7時30分の開門時間における子どものトラブルへの対応も、教員の自主的・自発的な行為とされている。それで教員からの不満も顕在化していないのだから、7時の開門でも同じようにやっていけると高崎市教委では考えているようだ。

問題化されて久しいのに改善の兆しが見えてこない教員多忙化の元凶が、ここにもある。実際に7時開門が始まり、自主的・自発的な行為を教員が受け入れていけば、7時の早朝開門も続いていくのだろうが、疑問は残る。

大きなトラブルが続いて教員の負担が大きくなって教員の不満が表面化することになれば、早朝開門を続けるのは難しくなるかもしれない。そうなると、子どもたちは居場所を失うことにもなる。

「子どものため早朝開門への対応を」と言われれば、自主的・自発的な行為を拒否できない弱さが教員側にはある。これまでも「子どものためなら」と教員が担う業務は増えてきた。

このままでは学校はどんどんしんどくなる。地域や社会全体で、子どもの居場所を根本的に考えてみることが必要なのではないだろうか。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
前屋 毅 フリージャーナリスト

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まえや つよし / Tsuyoshi Maeya

1954年、鹿児島県生まれ。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。著書に『学校が合わない子どもたち』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』(朝日新聞社)、『ほんとうの教育をとりもどす 生きる力をはぐくむ授業への挑戦』(共栄書房)、『ブラック化する学校 少子化なのに、なぜ先生は忙しくなったのか?』(青春出版社)、『教師をやめる 14人の語りから見える学校のリアル』(学事出版)など。

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