職を失った男の常軌を逸した行動…韓国の怪作映画『しあわせな選択』、世界を魅了する「狂気」の正体

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監督がそれを他山の石とすることを観客に願っているのか、ただ単に楽しませようとしているのかはわからないが、そこに映る夫婦の姿に観客は複雑な感情を抱くだろう。

妻と娘は主人公の異常な行動に気づくが何もできない(写真:『しあわせな選択』(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED)

向かう先には破滅しかない

この家族が向かう先には破滅しかない。そう思わせられるが、その結末は予想外でもあり、王道のエンターテインメントでもあった。

主人公の極端な行動のたどり着く末には、ある終着点がある。それはリアルにもファンタジーにも捉えることができる。しかし、そこまでの彼の心に生じたすべては、決して嘘でもファンタジーでもない。現実社会を生きるわれわれの心の底にうごめく本性に光を当て、その存在を意識させる。

そして、それが自身のこれまでの人生において現れた瞬間があったのか、これからあるのかと、自問させる。

しあわせな選択
すべてを知ってしまった妻はある判断をする。それが正しいのかはわからない(写真:『しあわせな選択』(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED)

本作は、社会の病巣をユーモアと風刺を交えて描く、社会派の側面があるサイコサスペンスであり、同時に良質な人間ドラマでもある。これまでのパク・チャヌク作品と比較して、コメディ要素が色濃くにじむ。

決して後味は良くない、家族の幸福への物語だ。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Yasuyuki Takei

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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