大学教員のトリセツ【基礎編】"華麗なる転身"は幻? 「2026年問題」と定員割れにあえぐ《大学業界》の残酷な現実
しかし、時間が経つにつれ、大学教員特有の課題が姿を現す。研究費獲得競争、任期制、ますます複雑化する教育業務、事務作業の多さなど、外からは見えにくい現実が積み重なり、満足度が低下する「ハングオーバー効果」が現れる。
実際、面白い現象に気づく。大学教員になりたい人向けに書かれた「大学教員キャリア論」が多く出版されているが、大学教員ほどすばらしい仕事はないと礼賛するのは、だいたい就任早々の実務家教員だ。一方、大学・学界の内側を本音で語る本を書いているのは、数年、大学教員を経験した、もしくは退職前後の元官僚やビジネスパーソンが多い。
悲観的な内容のキャリア本はあまり売れないという出版界の通説のとおり、社会人から大学教員になったばかりで、わが世の春を謳歌する「なりたて教員」の本のほうに読者の手が伸びる。そして、ページをめくると、そのハッピーライフを読み、私も、と夢を見てしまう。
大学業界に押し寄せる「2026年問題」
ところが、大学は外から見えるほど安定した組織ではない。少子化による18歳人口の減少により主要な顧客基盤は確実に縮小しており、大学全体が構造的な不況産業へと移行しつつある。その結果、財政は逼迫し、専任教員ポストも減少傾向にある。
日本の18歳人口は、1992年には約205万人に上ったが、2024年は約106万人になり、ほぼ半減した。大学進学率は2024年度に過去最高の59.1%に達したが、専門学校等を含めた高等教育機関全体では87.3%もあり、これ以上大きく伸ばす余地は限られる。
いよいよ、大学は今年から「2026年問題」という大寒波に襲われる。26年以降は大学への進学率が上昇したとしても、18歳人口の減り幅のほうが大きく、進学者数が減り続けると予測されている。必然的に、大学の閉学、統廃合が加速するだろう。
その対策として、早稲田大学を筆頭に、東京大学、立命館大学、京都大学など、多くの大学が、留学生を増やすという方針に転じた。
留学生の増大は、大学の経営を支えるという点ではインバウンドのようなものだ。人口減少は国内消費の縮小を意味する。海外から顧客を呼び込まなければならないという発想、いわば内需の落ち込み外需で補う苦肉の策である。




















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