"SNSでキラキラ発信"授業はおざなり教員、わが子の利益最優先の保護者…学校に出没する「困った人」を妖怪に例える深い訳

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ここ数年で、学校現場を大きく変えたのがGIGAスクール構想だ。1人1台端末の整備は、教育DXの象徴として語られてきた。

しかし、その実態は一様ではない。むしろ、GIGAによって格差が広がっている側面もある。立田氏は言う。

「モデル校や先進校では、本当にすばらしい実践が行われています。クラウドを前提に授業を設計し、子どもたちがリアルタイムで意見を共有して学びを深めている。一方で、一般の学校の中には、端末はあっても回線が整っていない、非常勤講師には端末がない、アカウントが発行されていない、といった課題も残っています」

そこに取り憑くのが、ネットワークを重たくする妖怪「超重GIGA」だ。

ネットワークを重たくする妖怪「超重GIGA」
ネットワークを重たくする「超重GIGA」(写真:生成AIを利用して立田順一氏作成)

「一斉にアクセスすると止まってしまう。動画が開かない。ログインに何分もかかる。そうなると、先生も子どもも『やっぱり紙のほうが早い』となってしまいます」

端末は配られた。だが、インフラや運用が追いついていない学校では、活用は写真撮影やドリルソフトといった“単発利用”にとどまる。5年が経っても、1人1台端末がほこりをかぶっている自治体もあるという。

「端末が“ある”ことと、“使いこなせる”ことはまったく別です。GIGAの本質は、端末とクラウド活用がセットで機能して初めて実現します」

コロナ禍を経て、その差はさらに可視化された。クラウドを使いこなせている学校と、そうでない学校。経験値の差は、学びの質の差へと直結しかねない。

一方で、この格差を埋めていく可能性を持つのが新採用の若手教員たちだ。

「今の大学生や大学院生は、クラウドでのやり取りが日常です。これからは“セカンドGIGA”。端末の更新ではなく、クラウド活用を当たり前のインフラにできるかが問われています」

もっとも、若手の力だけで格差は埋まらない。回線の遅さや同時接続の限界は個人では解決できず、鍵を握るのは自治体のインフラ整備だ。GIGAはゴールではない。問われているのは、機器ではなく学び方そのものである。「超重GIGA」を退治できるかどうかは、その覚悟にかかっている。

妖怪を暴れにくくするには

妖怪のいない学校づくりは可能なのだろうか。

立田氏は、きっぱりと言う。「無理だと思います。人間は業の深い生き物です。認められたい、評価されたい、得をしたい。そうした欲がある以上、何らかの“妖怪”は生まれます」

学校もまた、人間の集まりである以上、例外ではない。

「妖怪を“敵”だとみなすと、排除するか、戦うかしかなくなります。でもそうではなく、むしろポケモンのような存在だと考えてみる。特性を理解し、うまく付き合い、時には力を借りる。大切なのは、諦めることでも放置することでもなく、妖怪と、それを生み出す環境に対して能動的に働きかけていくことだと思います」

個人を断罪するのではなく、妖怪が増幅しにくい仕組みや環境を整えることで、妖怪は暴れにくくなるだろう。

学校改革とは、妖怪退治ではない。人間の欲や弱さを前提に、組織と制度をどう設計し直すのか。その覚悟こそが、今問われている。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
長島 ともこ フリーライター&エディター

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ながしま ともこ / Tomoko Nagashima

育児、教育、PTA、暮らしのジャンルを中心に、書籍、雑誌、PR紙、WEB媒体において取材、執筆、企画、編集、講演等の活動を行っている。また、自身のPTA活動や記事執筆を機に、全国のPTA仲間と「PTA・保護者組織を考える会」を立ち上げ、情報発信やイベントの運営、PTAやP連からの相談活動等を行う。

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