《異色のフィギュアスケーター》アリサ・リウ選手の金メダルに「日本人が感涙した」ワケ 「自国選手の勝利と同じくらい嬉しい!」の声、なぜ殺到?
その真髄が表れたのが、メダルの色が確定した直後の光景だ。
自分の金メダルが確定した勝利の余韻に浸るよりも先に、彼女は隣にいて、銅メダルが決まった日本の中井亜美のもとへ駆け寄り、屈託のない笑顔で抱き合った。
それだけではない。彼女は中井の両手を掴んで高々と掲げ、まるでともに頂点に立ったかのように、その健闘をたたえてみせたのだ。
そこには、金メダルを手にした自分を誇示する意識や、敗者を労わる配慮は存在しなかった。自分が頂点に立ったという事実すら忘れたかのように、ただ極限の銀盤をともに戦い抜いた同志と、その存在をたたえ合う。
その瞬間の彼女にとって金メダルという結果は、目の前の友人と分かち合う純粋な喜びの前では、取るに足らない副産物にすぎなかったのかもしれない。
彼女の奔放な生命力が、国籍や順位といった世俗的なカテゴリーを一瞬にして無効化してしまったのである。
相手を「ライバル」という記号に閉じ込めず、その懐へ真っ直ぐに飛び込んでいく。誰もが立場や役割を演じることで調和を保っているこの社会において、彼女の一切の迷いがない真っ直ぐさは、立場や損得を抜きにして、ただ「心が動くままに」他者とつながることの清々しい美しさを、何よりも雄弁に物語っていた。
「個性的なヘアスタイル」に込めた意味
アリサ・リウが持つ人間的な深みは、かつてすべてを捨てた「断絶」の期間によって、より強固なものとなった。
13歳で女王となった彼女は、SNSを通じた他人の物差しにさらされ続けたが、その喧騒から自ら距離を置く決断を下す。
引退後の約2年間、彼女はスケート靴を脱ぎ、スケート界のニュースから身を引いて「一人の人間」としての生活を送った。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で心理学を専攻し、自身のメンタルヘルスを見つめ直した経験が、現在の揺るぎない自律心を形成している。




















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