会田卓司氏も、高市政権の「責任ある積極財政」は、供給力を強化するための投資を増進するもので、インフレ対策であると論じ、利上げについても懐疑的である。
なお、「責任ある積極財政」に対しては、それが財政悪化の懸念による円安や金利の上昇を招くという批判が蔓延している。円安や金利の上昇は、積極財政に対する「市場の警鐘」だというわけだ。
一見するともっともらしいが、しかし、「負債の経済学」という資本主義の原理を理解していない者たちの解説が信用に値するとは思えない。
そもそも、「市場の警鐘」なるものが正しいのかも怪しい。ヴェイグが強調するように、日本のバブル崩壊の前も、リーマンショックの前も、市場は警鐘を鳴らすどころが、逆に投資を煽っていたではないか。
「負債の逆説」を読み解くフレームワーク
このように、本書『世界は負債で回っている』は、アメリカや中国をはじめとする世界経済の激変を理解する上でも、高市政権による「責任ある積極財政」という政策の大転換を評価する上でも、非常に有益な分析のフレームワークを提示している。
「負債の逆説」を解くための野心的かつ実践的な政策提言もある。タイムリーな必読の一冊と言ってよい。
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なかの たけし / Takeshi Nakano
1971年生まれ。東京大学教養学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2003年にNations and Nationalism Prize受賞。2005年エディンバラ大学大学院より博士号取得(政治理論)。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『政策の哲学』(集英社)など。主な論文に‘Hegel’s Theory of Economic Nationalism: Political Economy in the Philosophy of Right’ (European Journal of the History of Economic Thought), ‘Theorising Economic Nationalism’ ‘Alfred Marshall’s Economic Nationalism‘ (ともにNations and Nationalism), ‘ “Let Your Science be Human”: Hume’s Economic Methodology’ (Cambridge Journal of Economics), ‘A Critique of Held’s Cosmopolitan Democracy’ (Contemporary Political Theory), ‘War and Strange Non-Death of Neoliberalism: The Military Foundations of Modern Economic Ideologies’ (International Relations)など。
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