中国で大容量1万mAh級スマホ続々登場。バッテリーが「最強の差別化」になるも日本には来れない壁

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そして今後、こうした大容量バッテリースマホが広がっていけば、モバイルバッテリーの需要は今より確実に下がるはずだ。中国ではすでに、国内線フライトへ持ち込めるバッテリーについて「3C認証」を義務付けており、この国内規制によって粗悪なモバイルバッテリーは大幅に減っている。だがスマートフォン側の大容量化が進めば、そもそもモバイルバッテリーを持ち歩く人自体が減り、発火事故などのリスクも下がることが期待される。

「バッテリー戦略」を見てスマホを選ぶ時代へ

日本のユーザーにとって、1万mAhクラスのスマートフォンはまだ「遠い国の話」に聞こえるかもしれない。それでも、このトレンドは確実に世界へ広がりつつある。

オナーは8300mAhバッテリーを搭載した「HONOR X9d」をアジア各国で販売中であるし、ZTE傘下のnubia(ヌビア)社は日本などで7500mAhバッテリー搭載の「REDMAGIC 11 Pro」を展開している。この「REDMAGIC 11 Pro」はゲーム用途を中心に、「日常利用なら2日に1回の充電で十分」といった評価も出ており、毎日の充電が当たり前というスマートフォンの常識が変わる兆しも見えてきた。

REDMAGIC 11 Pro
日本でも販売中のREDMAGIC 11 Pro(筆者撮影)

こうした大容量モデルが世界各国で一般的になれば、「モバイルバッテリーを買う」という選択肢自体が不要になる可能性がある。バッテリー事故のリスク低減だけではなく、モバイルバッテリーという電子廃棄物を減らすことで、環境負荷の軽減にもつながるだろう。

さらに、AI機能など負荷の高い処理を行っても、バッテリー残量をいちいち気にせずに、思う存分機能を使いこなせるようになる。一度「バッテリー切れの心配をしなくていいスマホ」を体験してしまえば、その自由度と快適さは想像以上だと感じるはずだ。

とはいえ、シリコンカーボンバッテリーはまだ登場から日が浅く、その長期的な信頼性や安全性については、従来のリチウムイオン電池ほど実績が蓄積されているわけではない。新しい技術であることを理解しつつ、充電環境や発熱に注意しながら使う意識は当面は必要になるだろう。

これからのスマートフォン選びでは、カメラやチップセットといったスペックだけでなく、「どれだけ長く、安心して使えるか」という観点から、各メーカーのバッテリー戦略にも目を向けたい。その視点を持っておくだけで、数年後に訪れるかもしれない「1万mAhスマホ時代」を迎えても、自分に合った一台を冷静に見極められるだろう。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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