「移民とジェンダー」がアメリカ民主党を自壊させた納得理由 かつての「庶民の党」が「労働者や中間層」から完全に見放された「失敗の本質」

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トランプと共和党を支持した有権者を見ると、民主党がかつて多数派であり続けた基盤をつくっていた支持層を失ってしまったことがわかる(以下、数値は民主党系選挙分析団体「カタリスト」まとめ)。

民主党はかつて白人労働者階級の政党であった。これらの有権者(おおむね大学卒ではない有権者と言ってよい)は、ハリスに対しトランプを63%対36%で支持した。白人労働者階級の男性に限ればトランプを69%対30%で支持した。

かつては共和党に対し民主党を僅差で支持していた農村部や小都市の有権者層でも、民主党は支持を大きく失った。農村部有権者はトランプを69%対30%で支持した。ついに、民主党はマイノリティ有権者層の間でも支持が減りだした。民主党はかつて黒人有権者のほぼ90%の支持を当てにできた。

しかし2024年、黒人男性の21%がトランプを支持した。民主党はヒスパニック系有権者の70%以上の支持を当然とみなしていたが、2024年にはハリスはヒスパニック系有権者の53%しか獲得できず、ヒスパニック系男性では46%対52%で敗北した。伝統的な民主党に亀裂が生じているのは明らかだ。

長期的な傾向と偶発的な要因

選挙は長期的な傾向だけでなく、偶発的な要因によっても決まる。2024年の選挙はこの両方の原因で決着した。

ジョー・バイデンは有権者に不人気だった。彼は身体的にも、おそらく精神的にも、二期目を務めるには適さないと見られていた─―この印象は、6月のトランプとの討論会で精彩を欠いたことによってさらに強まった。

彼が選挙戦から撤退したのは7月になってからで、そこまで来ると民主党支持者は予備選で改めて大統領候補を選ぶのは無理になっていた。

代わりに彼らが受け入れるしかなかったのは、バイデンの副大統領であるハリスだった。彼女は2020年大統領選に出馬した際に、すでに候補者に向いていないことを証明していた。ハリス自身も、選挙運動の陣営準備や戦略を立案して不人気なバイデンとの差異化を図ろうにも時間がほとんどなかった。

こうした不測の事態が民主党の大統領選敗北につながり、上院・下院選挙にも影響したのである。

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