稲田:それで、「そうじゃなくて、あなた自身が欲しくないと思う理由を教えてほしい」と聞き直すと、今度は「これは私の意見になっちゃうんですけど……」と前置きしてから話しだす。いやいや、最初からあなたの意見しか聞いてないんですけどね(笑)。そういう学生がひとりやふたりではない。
要は、胸を張って「I think」で話せない。だから一般論に逃げたり、主語が不明の話しかたをする。その背景には、いっときすごく言われた「それってあなたの意見ですよね」と冷笑されることへの恐れがあるのかなと思いました。「私ごときの所感なので参考にならないかもしれませんが」と、最初から防衛線を張っている。
自分の素の感情を否定されるのが怖い?
金間:この点は、僕が稲田さんと議論したかった論点の2つ目に通じます。「感情を出さない」若者たちということです。
博報堂生活総合研究所が「感情に関する意識調査」をしたところ、「自分の感情を出せる相手や場」が以前より「減った」と感じる人は6割を超えました。ポジティブな感情さえも6割超が出しすぎないよう抑制しているといいます。
少し前まで、「生きる」とは激しい感情の起伏を伴うものという共通認識がありました。でも今は感情を出さない、いわゆる「感情ミュート社会」です。そんな中で若者たちは、感情の出し方さえもわからなくなってきているのではないでしょうか。だからひとまず前置きをする。
『無敵化する若者たち』にも書きましたが、今の若者は、主体的に動くときに「言い訳」が必要です。だから自分の意見や感情を言うときも、「私個人の意見になっちゃうんですけど」とか、「母が私に言えと言っているんですが」などという断りが入る。自分を主語にして語るときは、自分を主語にしなければならない「外的理由」が必要なんです。
稲田:自分の素の感情を出してしまうと、それが否定されたりネガティブに捉えられたりしたときに「逃げ場がない」と感じるからでしょうか。





















