ショートテキスト文化に生きるZ世代の実態、客先で営業パンフレットを復唱するだけの若者はなぜ生まれたのか?

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金間:その通りだと思いますね。彼らは営業に行く際、入り口としてのトークもできるし、パンフレットの中身を読んで説明することもできる。だけどお客さんの質問に対してどうリアクションするかというと、もう一度パンフレットを読むだけ、なんです。

お客さんが契約書にサインする決め手は、最終的には「人」ですよね。欲しい情報を的確に提供してくれる。この人なら信頼できる。営業する側は、そうなるために相手に合わせて営業トークもカスタマイズしていかなくてはなりません。それは対話を通じた長い文脈でのすり合わせが必要なのですが、この積み重ねができないのです。

長文が読めなくなったのはスマホのせい?

稲田:少し違う視点ですが、今の書籍の世界でいうと、小説「成瀬あかりシリーズ」全3作が累計200万部超のベストセラーになっています。未読の方にしてみれば、「シリーズと言うからには、大河ドラマのように長大なストーリーなのだろうと」思いきやまったく逆で、そのつくりは共通主人公による連作短編集です。1話30〜40ページでとても読みやすい。なおかつ文章も、小学校高学年の子でも読めるくらい易しい。

もうひとつ、去年大ヒットした映画『国宝』について。

これは3時間近い長さで、「コスパ・タイパ志向の時代に長編映画がウケていてすごい!」と言われることがあるのですが、映画版の構成は起こったことを時系列にテンポ良く並べていて、かつ主人公2人の関係性だけに絞った話運びに原作小説を脚色している。

長いは長いけど、非常にシンプルな構造なんです。複雑な構造をもつ「かたまり」に食らいつく必要がない。楽なんですよ、観ていて。

今はこうした、長く見えても非常に易しくシンプルで、受け手を惑わせない作りのコンテンツが増えているように感じます。要は「10万字ひとかたまり」ではない。ヒットする作品がこぞって「易しい」「シンプル」であることは、文脈や複雑なストーリーを理解できなくなっている原因でもあり、結果でもあるような気がします。

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