日本の食料事情改善だけが論点ではない、個人の生存戦略としての「農業」に可能性はあるか? 「農業で稼ぐ」夢と現実
農業は会社員よりもずっと収入が不安定になりがちです。今年始めたものが来年に大当たりするといったミラクルが起こるようなものでもない。とにかく地道に畑を耕し、土を育て、種や苗を植え続けるしかありません。3年、5年、10年という年月をかけて経営を確立していく間は無収入、むしろ経費がかかるので赤字です。専業農家になると補助金は出ますが、それで生活ができるというわけではなく、必要な機材を揃えたらほとんど残りません。著者の田中さんも書かれていますが、やはり兼業農家を目指すのが一番現実的かもしれません。
農業を始めやすい人とは?
気軽に就農を目指せるのは若い人たちですね。若ければ、たとえ農業で失敗したとしても第二新卒のように就職を目指す道がありますから。若い独身者、まだお子さんのいない共働きの夫婦などは、今すぐ兼業農家を目指してもリスクは比較的低いでしょう。
逆に、たとえば「子どもが生まれたばかり」「家のローンがある」「自分は正社員だが妻は非正規雇用」という人は、家計を安定させることが第一ですから、専業農家を目指すのは立ち止まって考えるべきです。就農のタイミングではないと言ってもいいくらいです。
どこにいても仕事ができる個人事業主の方は、さらに就農を考えやすいでしょう。農地を賃借・購入したら、兼業農家でも年間150日以上は農業に従事しなくてはいけないという規定があります。その点、通勤する必要がない個人事業主なら、農地の近くに引っ越して規定以上の日時を農業に使いつつ、自宅で現在の仕事を続けられる。こういう柔軟な働き方ができるのは強みです。もっとも、農業は非常に体力を使うため「早朝から夕方までは農業、夜はフリーランスの仕事をするつもりで就農したのに、夜はすぐに眠くなってしまって仕事にならない」という新規就農者の話も聞きます。早寝早起きで体を使い、たくさん食べてたくさん寝るという健康的な生活は、それはそれで幸せだと感じますが、今の仕事と両立していく工夫も必要かもしれません。



















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