日本の食料事情改善だけが論点ではない、個人の生存戦略としての「農業」に可能性はあるか? 「農業で稼ぐ」夢と現実
ただ、日本の食料事情を考えると就農人口が増えることは願っていますし、何より農業はいいものですよ。実際、「東京NEO-FARMERS!」の就農メンバーから話を聞くと、まったく何もない大地でゼロから作物を育て、収穫することが、自信や充足感といった心の豊かさにつながっていると口にする人が多いです。
就農するにも収入源を確保することが大事
まったく何もない大地でゼロから作物を育てるということは、もちろん、相応の苦労を覚悟しなくてはいけません。いくら農業体験しても、自分でゼロから始めるとなると、うまくいかないこともたくさんあります。それなりに収穫できるようになるまでは、失敗と試行の繰り返し。だから、うまくいったときに自信や充足感が生まれるのでしょう。
資産形成法として農業をすすめる本書の主張は新鮮でしたが、著者・田中さんも、10年くらい試行錯誤して、ようやく農業で生計が立つようになったと書かれていますね。やはり、一定の時間をかけて経営を確立している。それも私から見ると、田中さんご自身の機転や器用さが効を奏して、かなりうまくいっているケースだと思います。
このあたりを甘く見積もっていると、いきなり会社を辞めて就農するという選択になりかねません。
私が就農支援したなかにも、50代の共働きのご夫婦で、男性のほうが仕事を辞めて就農したというケースがあります。その方の初年度の売り上げは210万円ほど。初年度は30万円や50万円という人が多いなかでは、大きな成果を挙げたと言えます。でも「妻にも仕事を辞めてもらって、ふたりで農業をする」と言い出したのは全力で止めました。
リスクが高すぎるからです。初年度が210万円なら、来年はもっと売り上げられるかといったら、そんな保証はありません。ガクンと落ちる可能性もある。せっかく奥様が仕事を続けているのだから、しばらくは「夫:農家・妻:会社員」の二段構えで行くべきだと伝えました。




















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