しかし、この「独り勝ち」の戦略には危うさがある。ドイツの繁栄は、他国の借金と、そして近年の中国による爆発的な需要に支えられてきた。
2022年以降、エネルギーコストの上昇や地政学的リスク、そして中国の成長鈍化が顕在化する中で、ドイツの貿易上の優位は揺らぎ始めている。
もし輸出が減退すれば、ドイツもまた、アメリカや日本のように巨額の政府支出と債務増加に依存する道を選ばざるを得なくなるだろう。
中国が陥った「企業債務と支出の罠」
中国の戦略は、世界でも類を見ないほど特異である。政府債務でも純輸出でもなく、非金融企業部門の巨額の損失と債務に依存して家計所得を押し上げる「企業債務と支出モデル」を採用しているからだ。
中国の非金融企業、とりわけ不動産ディベロッパーは、健全な与信基準を逸脱した融資を受け、膨大なビルやインフラを建設し続けてきた。
その過程で支払われる給与が家計所得を高め、GDPを急成長させたのである。その象徴が、3000億ドルもの負債を抱えて破綻した「恒大集団」である。
このモデルの結果、中国全土には数千万戸から1億戸に及ぶ「空き家」が放置されることとなった。人口減少が始まっている中国において、これらの過剰な供給が合理的な期間内に解消される見込みは薄い。




















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