≪7度目の演習で集大成≫習近平が2027年「台湾統一」へ動く不気味な本気度―米軍の"マドゥロ拘束"が与えた最悪の後押し

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このように、台湾統一に向けて着々と準備を進める中国。そんな中国にとって追い風となりそうなのが、アメリカ軍によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領の身柄拘束およびニューヨークへの身柄移送である。

アメリカ側の言い分をまとめておく。

「麻薬取引の温床となってきたベネズエラ。その密輸に色濃く関わってきたマドゥロ氏を、トランプ政権は1期目の2020年に起訴している。アメリカ軍は、そのマドゥロ氏の刑事訴追に向け、アメリカ司法省の任務を支援したにすぎない。つまり、今回の攻撃は軍事行動ではなく、あくまで法執行。アメリカ軍は1人の犠牲者も出さず、作戦は見事成功した」

特殊部隊を送り込んで大統領夫妻を拘束しアメリカへ移送…まるで映画のような出来事だが、これが国際法や「武力行使の禁止」を定めた国連憲章に反するのかどうかはさておき、日本から遠く14000キロも離れた場所で行われた極秘作戦は、やがて日本にも大きな影響を与えそうだ。

懸念される日本への影響

①原油価格の高騰

市場は落ち着いているものの、トランプ氏の狙いは埋蔵量世界一(埋蔵シェア18%でサウジアラビアより多い)の原油。ロシア産原油の供給が滞る中、アメリカがベネズエラ政府と原油を差配することになれば原油価格が高騰し、せっかくのガソリン暫定税率廃止が無意味になる恐れがある。

②輸入品価格の高騰

アメリカ軍が外国の政府トップを軍事行動によって拘束したのは、1989年のパナマ侵攻と同じパターン。中南米を「裏庭視」するトランプ氏によるパナマ運河の支配が続けば、運河を通過して日本に運ばれる輸入品価格にも影響が及ぶ可能性が生じる。

③中国に台湾侵攻へのお墨付きを与えてしまう

ベネズエラ産原油の85%は中国に輸出されている。それが今回の軍事行動で一変する。それは中国にとって痛手だが、「じゃあ、我々も台湾を攻撃して頼清徳総統を拘束してもいいよね」「台湾はもともと中国だし、アメリカと同じように不満分子は取り除いても文句は言えないよね」と、台湾侵攻の正当性を後押しすることになりかねない。

特に①と③は深刻だ。トランプ氏は11月の中間選挙に向けて、また習氏は来秋の党大会での4選に向けて、ともに結果を出さなければならない状況下にある。当然ながら「自国ファースト」の動きが強まる。

日本の舵取り役である高市首相は、内政面だけでなく外交面でも、新年早々、難しい局面を迎えている。

清水 克彦 政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授

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しみず かつひこ / Katsuhiko Shimizu

愛媛県生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。文化放送入社後、政治・外信記者、ベルリン特派員、米国留学を経て、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサー、大妻女子大学非常勤講師などを歴任。現在、TBSラジオ「BRAND-NEW MORNING」コメンテーターも務める。専門分野は現代政治と国際関係論。著書は『日本有事』、『台湾有事』、『安倍政権の罠』、『知って得する、すごい法則77』ほか多数。
公式ブログ:http://k-shimizu.com/

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