中高の探究学習で「大学の先生たち」が疲れている…なぜ?誰が悪い?"生徒、中高教員、大学の教員・研究者"の生の声に見る課題の本質

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例えば、現行学習指導要領の導入以前から大学連携、地域連携をしてきた公立の農業高校の教員は、農産品や花卉などを活用した商品開発では、肥料に関してさまざまな数値をとりながら研究をするため、もともと大学と連携していたので変化はないという。

また、そうした研究においては高校側が大学と連携していることが前提となってプロジェクトが進むため、高校生が研究者にアクセスすることによる大きな課題感を感じることはないとのことだった。

一方で、私立中学高校の探究科などでは、「探究」の過程で1次情報に触れることの大切さも含め、総合型選抜も視野に入れつつ、社会人や研究者にコンタクトを奨励するケースも多い。

数年前までは大学につながろうとする生徒数が少なかったため、チャレンジにもなると思っていたが、今では多くの学校が一挙にコンタクトを取り始めているので、状況は変わってきていると考えている。

大学によっては、総合型選抜を売りにして高校にリクルートにくるケースもあり、大学入試で受賞歴や探究活動などを評価に入れるのであれば、高校もそういう対応をせざるを得なくなるので、入試広報と研究者がもっと連携を取るべきではないかとの声も聞かれた。

地方の公立、特に進学校ではむしろ総合型選抜は推奨されておらず、「探究」についても消極的なので、あまり変化がないと感じている教員が多かった。また、地理や物理などの特定の領域で大学の文脈を理解する教員が部活も含めて、生徒の個人的な研究をサポートし、大学とつなげるようなことは現行学習指導要領導入からあったことであり、そこに変化はないという認識だった。

一方で、地域創生などの文脈で地域資源を活用したグループ探究に積極的な公立高校も増えてきており、そこに手応えを感じている教員も少なくない。

大学から見える風景「探究と研究は違う」

大学教員へのヒアリングでは、中高教員の「研究」に対する理解のなさが、著書・論文の一本も読まずに本やネットを読めばわかるようなことを聞いてくるような失礼、かつ無謀な高校生のコンタクトにつながっているのではないかと考えている人が多かった。研究倫理の基礎くらいは中等教育の教員であっても、踏まえていてほしいとの声も多く聞かれた。

新井紀子氏も指摘するように、こうしたリクエストは、研究者の無償労働にもつながるだけではなく、特定の受験者だけを支援すれば入試の公平性が損なわれることにもなる。大学側が賞やオープンスクールなど接触の範囲を制限することも1つの解かもしれない。

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