ベネズエラ・マドゥロ大統領拘束、トランプ流「力による解決」の衝撃 国内異論を押し切った強硬策が呼び起こす"新たな火種"

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すでに国際刑事裁判所(ICC)がベネズエラの人権状況について予備調査を行ってきた経緯からすれば、国際司法の場で裁かれるべき人物を、アメリカが武力で拘束したとの批判が出てくるだろう。ただ、トランプ政権は拘束したマドゥロ夫妻を麻薬テロ、犯罪組織、人道に対する罪などで起訴し、アメリカの司法が独裁者を裁くというストーリーを国内で打ち出す可能性が高い。

だがこういった姿勢が逆にベネズエラ国内での反発や新たな権力闘争へとつながり、反米感情が高まりそうだ。これまでの政権幹部や軍の有力将校、野党勢力による国内不安定化も進むのではないか。そもそもマドゥロ大統領の排除だけを狙ったものであり、新たなマドゥロが誕生する可能性も高い。

パナマ侵攻と同様の軍事介入手段

一方でアメリカ資本の石油会社を中心に、ベネズエラの石油生産・輸出が回復できるようにし、ベネズエラからの移民流出などの管理をアメリカが熱心に行うなど次期政権とうまく付き合おうとすれば、一定の国内安定がみられそうだ。

1989年、アメリカはパナマに侵攻し当時の独裁者であったマヌエル・ノリエガ将軍を拘束、親米政権を樹立させたことがある。このときもノリエガ将軍に麻薬犯罪への関与や選挙無効・弾圧が明るみに出た。また親ノリエガ将軍のパナマ議会がアメリカとの戦争状態を宣言、アメリカ海兵隊員をパナマ軍が射殺した。これが、当時のブッシュ政権が軍事行動を決断する理由となった。

このときも国際社会はノリエガ将軍の独裁と麻薬犯罪を問題視しながらも、アメリカの一方的な軍事介入に懸念を示している。アメリカは地域秩序を軍事力で管理するという姿勢を強めた事件であり、冷戦構造の終結もあいまってアメリカの「ポスト冷戦型」の軍事介入とされており、トランプ大統領も自国にとって危険な国家の主権は制限し、これを軍事的に抑えるという考えを持って、今回の軍事行動に踏み切ったのかもしれない。

福田 恵介 東洋経済コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(以上、東洋経済新報社)など。

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