「腹を斬った状態で、藩主のもとに…」朝ドラ『ばけばけ』小泉セツが尊敬する祖父の壮絶な切腹劇

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しかし、一度、ならず二度も苦言を呈したにもかかわらず、斉斎に反省はみられなかった。それでも増右衛門は諦めなかった。「三度目の正直」とばかりに決死の覚悟で、藩主の行動を諫めたのである。

ただならぬ様子だった3度目の諫言

この3度目の諫言を行ったときの増右衛門がただならぬ様子だったため、退出後にすぐ斉斎は「呼び戻してくれ」と家来に言いつけた。そこで増右衛門が戻った詰め所を訪ねると、そのときすでに絶命していたという。死体を見れば、腹を切っているではないか。

驚くべきことに、増右衛門は先に密かに切腹し、腹を斬った状態で、藩主に苦言を呈しにいったのだ。歌舞伎にて、登場人物が観客に見えないところで切腹し、その後、迫真の演技をすることを「陰腹(かげばら)を切る」と呼ぶが、まさにそれを実践したことになる。

それだけの思いでぶつからなければ、わかってもらえないと考えたのだろう。その後、藩財政の悪化を受けて、斉斎は隠居させられることとなった。

小泉セツがその波瀾万丈の生涯において、幾度となく苦難を乗り越えられたのは、そんな祖父ゆずりの豪胆さがあったからだろう。

【参考文献】
小泉節子著、小泉八雲記念館監修『思ひ出の記』‎(ハーベスト出版)
小泉凡著『セツと八雲』(朝日新書)
NHK出版編『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』(NHK出版)
櫻庭由紀子著『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』(内外出版社)

真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。2026年、京都芸術大学大学院芸術研究科(通信教育)文化遺産領域文化遺産分野を修了。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年に独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆や講演活動を行う。

『ざんねんな偉人伝』シリーズ(学研)のほか、『偉人 大久保利通』 (草思社)、『大器晩成列伝』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『本を読む人だけが、“自分の壁”を突破できる』(青春出版社)  など著作は60冊以上。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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