価値向上を実現する企業群「SX銘柄」とは(第4回) 先進的なサステナビリティ戦略がもたらす価値

ブリヂストン
質の伴った成長を実現する持続的な価値基盤の強化

取締役 代表執行役
Global CEO
石橋 秀一氏
ブリヂストンは「最高の品質で社会に貢献」という使命の下、サステナビリティを経営の中核に据えています。
2050年には「サステナブルなソリューションカンパニーとして、社会価値・顧客価値を持続的に提供する会社」を目指し、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」を価値創造の軸として、変革を加速させています。この一貫した価値創造の取り組みとステークホルダーとの対話の強化が、企業と社会双方の持続可能性を高める活動として評価されたと考えています。
当社は、「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」というバリューチェーン全体で、カーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブの推進に注力し、独自のサステナビリティビジネスモデルをより循環型・再生型へと進化させていきます。中期事業計画(2024-2026)では、このサステナビリティ活動を事業戦略と統合、連動し、持続的な価値創造基盤を強化していきます。
また、サステナビリティに加え人的創造性・DX・知財戦略を含む創造性・生産性の向上を追求することで価値創造基盤をさらに強化し、稼ぐ力と資本効率を高め、「質を伴った成長」を実現することが重要と考えています。激動の事業環境において、「変化をチャンス」に変え、「断トツ商品」の価値を増幅させることで、社会価値・顧客価値を創造し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
明治ホールディングス
「明治ROESG®」で実現する利益成長と社会課題解決

代表取締役社長 CEO
川村 和夫氏
(※取材当時。6月末より相談役)
前中計より経営目標として掲げた「明治ROESG®」※は、ROEとESGを同時に実現するという「SX」を最上位の経営目標とするための当社なりの考え方です。
ESGは長期的な取り組みだけに、社員一人一人が自分ゴト化できるよう、事業領域との関連性が高い「明治らしさ目標」を加えたところ、想定以上に社内での理解度が深まりました。昨年度から始まった「2026中期経営計画」では事業との融合をより意識し対象ブランド群を定め、売上高を通じてESGの達成度を高められる仕組みも取り入れています。
また食品産業の重要な役割として、農業分野のサステナビリティ向上にも力を注いでいます。良質な農産物を安定的に調達し、その品質を維持しながらお客様に届けることを当社の使命と考え、牛乳では酪農経営の支援や、地球温暖化要因の1つである牛のゲップ由来のメタンを削減する飼料添加物の実証実験にも取り組んでいます。
チョコレートに欠かせないカカオ豆生産においても、持続可能性を高める活動を長年継続し、2024年度には、当社がカカオ農家支援を実施した地域で生産された「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を達成しました。
社会課題と事業課題は「トレードオン」の関係であるべきというのが当社の方針です。食品事業では世代別の栄養課題を解決する商品を、医薬品事業では抗菌薬原薬の国産化を実現し、利益成長と社会課題の解決を長期で両立させたいと考えています。
※「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
良品計画
創業以来貫く変革の使命 地域・グローバル戦略を加速

代表取締役社長
清水 智氏
1980年の創業以来、私たち良品計画は「社会や人の役に立つ」ことを使命としてとらえています。2021年からの「第二創業」では、店舗を地域のコミュニティセンターと再定義し、ESG経営のトップランナーを目指してきました。
情報開示強化やステークホルダーとの対話を一層強化し、環境や社会に配慮した商品開発と地域社会への貢献を両立。45年間、愚直に創業の精神を貫いたことが今回の選定に繋がったと自負しています。
製造小売業として地球資源への配慮は不可欠であり、長く使える商品開発に加え、資源活用と廃棄物削減は私たちの責務です。社会課題に対応すべく、店舗を地域のコミュニティセンターと定義し、生活者や他社との共創による資源循環型事業モデル構築を目指します。全店舗での回収を通じたリユース・アップサイクル「ReMUJI」を強化し、環境・社会配慮型商品開発も一層進めています。
今後も地域社会に寄り添い、社会になくてはならない企業グループを目指すために、店舗の出店と個店経営、商品開発体制をより強化していきます。またグローバルでの営業収益・利益最大化を目指し、複数国に生産管理拠点を整備。原価低減に加え社会課題解決に貢献する調達・生産体制や、それらを支える人財戦略を強化することで、取り組みを加速させていきます。
創業からの理念を胸に、これからも社会と共により良い未来を創造し続けたいと思います。
レゾナック・ホールディングス
「個の力」最大化に向け 企業文化の醸成に力を注ぐ

代表取締役社長 CEO
髙橋 秀仁氏
レゾナックは、2023年に昭和電工と日立化成が統合した会社です。2022年の社長就任時から、サステナビリティを経営の根幹に据えてきました。企業にとってのサステナビリティの追求は「企業価値の最大化」にあり、企業価値は「戦略×個の力×企業文化」だというのが私たちの考えです。
戦略はシンプルで「世界トップクラスの機能性化学メーカー」になることです。高い機能性を持たせた材料の拡販を進め、事業ポートフォリオ改革を積極的に行い、社内外で変革と課題解決をリードできる共創型人材を育成して「個の力」の最大化に取り組んでいます。
約2万4000人の従業員全員の「個の力」を最大化するには、一人ひとりが楽しんで働ける会社にすることが大切だと考え、企業文化の醸成に全力で取り組んでいます。1年目は徹底的な発信、2年目は対話、3年目は自律と毎年テーマを決めて、CHROとともに各国の拠点でタウンホールや少人数のラウンドテーブルも1年に70か所以上で開催してきました。結果、パーパス・バリューの実践度は1年目に34%だったのが2年目は49%、3年目の昨年は60%となりました。
現在注力している半導体材料事業でも、特に成長著しいAI用半導体向けにいくつものキラーマテリアルを生み出しています。今後も研究開発に磨きをかけ、企業価値を最大化し、レゾナックなくしては成立しないデファクトな製品を創出し続けていきます。