「誰が責任取るんだよおっ!!」 首都高「切電マニュアル」のきっかけに壮絶すぎるカスハラ 真の顧客第一とは
近年、カスハラ被害から労働者を守るため、自治体がカスハラ防止条例を設けたり、企業でも急ピッチで対策作りが進んでいる。威圧的な態度や暴言にさらされ続けた結果、心を病んだり離職するケースもあり、どう未然に防ぐかが喫緊の課題になっている。
首都高は一足早い2023年の5月、お客さまセンターで、カスハラ行為に該当する電話を切っていい「切電マニュアル」を導入した。
切電マニュアルの実態は
マニュアルといっても、A4の用紙たった2枚で、オペレーターや上長が判断しやすいように、ルールもわかりやすい。
▽回答内容に問題はないのに30分以上同じ内容の主張を繰り返す
▽不当な要求(「社長を出せ」など)
▽威圧的な発言・口調(「バカ野郎」など)
の3項目いずれかに該当した場合、理由を伝えたうえで電話を切っていいことを定めた。
さらに、通話内容がほぼ同時に文字化される「音声認識システム」を導入した。暴言や、電話が10分以上続いた場合にアラートが出る仕組みだ。利用客が何を言ってきたか、どのようなやり取りをきっかけに怒り出したかを「見える化」し、オペレーターと上長が状況を共有できるようになった。
「切電」導入のきっかけは2012年ごろから長く続いた、ある男性からのカスハラ電話だった。
「苦しまされ続けた過去がありました」と恩田さんも率直な思いを口にする。
その当事者とのやり取りの録音を聞かせてもらうと、工事渋滞の予測が外れたと怒り狂い、オペレーターを恫喝する声が響いた。