これに対して東光高岳は、取締役義務違反が疑われる元取締役に対する責任追及に及び腰だった。そのためアクティビストである香港の投資ファンド、リム・アドバイザーズ(以下リム)が、6月25日までに東光高岳の監査役に対して裁判を起こすよう求める提訴請求を行った。監査役が60日以内に提訴しなければリム自身が当時の取締役らを相手取り、損害利益額の25億円を会社に賠償するよう求めて株主代表訴訟を起こす構えだ。
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リムは、中堅ゼネコンのナカノフドー建設に対しても株主代表訴訟を起こしている。ナカノフドー建設は1933年に石材工事の中野組から独立して創業し、2025年3月期の売上高は1105億円。医療や物流など多彩な民間建築が主体の中堅ゼネコンで、東証スタンダード上場企業だ。
ナカノフドー建設は、外国大使館や企業のオフィスなどが建ち並ぶ東京都千代田区五番町にある5階建てビルの1〜4階部分を所有し、5階部分は創業家出身の大島義和名誉会長が所有して自宅として利用している。
だが4階の屋上部分には大きなテラスやスロープ付きのプールなどがあり、1階の通用口からの動線と合わせて大島名誉会長に無償で貸与、その費用は2015年7月から2025年6月までの10年間だけでも4億円余りに上るという。
これに対してリムは、大島名誉会長がナカノフドーの第3位の株主であるため、会社が株主の権利行使に関して財産上の利益供与を禁じる会社法120条第1項に該当するとして、創業家との取引内容を開示するよう定款の変更などを求めて株主提案を行っていた。
しかし、ナカノフドー建設側が株主提案に反対を表明するなど聞く耳を持たなかったことから、無償使用に直接関与していた、もしくはこれを把握すべき立場にあった大島名誉会長をはじめとする取締役らを相手取り、6月25日までに監査役に提訴請求を行ったという。
これに対しナカノフドー建設の担当者は、「たしかに提訴請求は届いているがまだ中身を精査しておらず、コメントできる状態ではない」とコメントした。
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