「判断ミス」はなぜ起こる?原因の1つは《情報の取り方》にあった――脳の専門医が教える「失敗をなくす考え方のコツ」

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ふつうに考えると、測量するというのが一番確実です。ただし、雑木林があるせいで土地が広く、全部測量したら数百万円近いお金がかかるかもしれないということでした。そこでドローンの話を思い出したのです。

「上からドローンで空撮すれば、広い土地でも全体の様子を把握することができる」と思いついた。これだと測量より、はるかにお金が安く済みます。結果的にドローンで空撮することができたため、測量するなど大ごとにならずに済みました。

今回の土地問題の件で私が幸運だったのは、仲介者がドローンに興味を持っていたため、ドローンで空撮することを思いつき、空撮情報を手に入れることができたことです。つまり、情報を十分に増やした段階で、判断を下すことができたのです。

判断を出すことに焦ってしまうと、つい情報不足のうちに物事を進めてしまいがちです。必然、判断ミスが増えるでしょう。情報が足りないときは、判断を先送りする勇気が必要になるのです。

なぜ実印は名前の上下がわかりにくい?

ちなみに、皆さんは実印を持っていると思いますが、ほとんどの実印には名前の上下がわかるような印が付いていません。三文判などは印鑑の一部に、上下がわかるような目印がついているのに、なぜ実印にはついていないのでしょうか。

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一説には、名前の上下を確かめるために、判の面を確認しますが、その時間に、本当に自分がハンコをついていいかを一呼吸おいて考えさせるためだといいます。

その時間を作るために、あえて上下の目印を入れていないということです。

真偽は定かではありませんが、それくらい書類によっては印鑑を押すことに慎重にならなければなりません。本当に印鑑を押して大丈夫なのか? 判断材料としての情報をすべて吟味した上での結果なのか? 情報が少ないときには下手に動いてはいけないのです。

あえて動かない、判断しないという判断もあるということです。情報が不足していたり、何か引っかかりがあるときには思い出してほしいと思います。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。著書に、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続けるもっとすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1日1文読むだけで記憶力が上がる!おとなの音読』(きずな出版)など多数。

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