「判断ミス」はなぜ起こる?原因の1つは《情報の取り方》にあった――脳の専門医が教える「失敗をなくす考え方のコツ」

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人によって情報形成力に差があることを、1つの例を挙げて説明しましょう。

例えばいま、あなたの周りで陰謀論的な議論にハマっている人はいませんか? おそらく誰でも1人や2人、思い当たるのでは?

トランプ大統領がアメリカ合衆国を再び強くするということで、実体経済に重点を置く政策に舵を切っていることは、ご存じのとおりです。そのトランプ大統領がしきりに糾弾するのが「ディープステート」です。

ディープステートとは「影の政府」という意味で、政府を裏で操る権力のこと。アメリカ合衆国の権力機構の一部、とくにCIAやFBIなどの情報機関が、金融や産業界の一部のエリート層と結託し、政府の意向を無視して自分たちに有利な政策を行っているというのです。

トランプはこれらの存在が、戦争を引き起こしたり株価を操作したりして莫大な利益を上げ、世界中の富を収奪していると主張します。そのディープステートの意図を挫き、本来の国家や世界の姿に戻そうというのが、彼の政治的な最終目標だとされています。

結論ありきで情報を収集している

たしかにアメリカにおいて、金融経済は肥大化しています。巨大なマネーを動かしているファンドやそのマネージャーなど一部のエリートたちは、それこそ莫大な収入を稼ぎます。これらの存在が、一時的に政府のコントロールから外れたりすることはあり得るでしょう。

ただし、それらが結託し、1つの有機的な組織=ディープステートとして活動しているかどうかとなると、これはまた別の話です。

状況証拠だけをつなげていけば、そのような影の集団の存在があるかのように見えます。

逆に、異を唱える人は、トランプの言うところのディープステートは陰謀論であり、断片的な事実をつなげて、勝手に影の存在を作り上げているにすぎないと指摘しています。

もはや、ここまで来るとディープステートが本当に存在するかどうかというのは、認識論の違いになってきます。

いずれにせよ、トランプにとってこのような存在を国民に信じさせることは、政敵を攻撃し、自分の政治的な野心を達成するには都合がいいのは確かでしょう。

私が言いたいのは、ディープステートが存在していると考える人は、そのような情報形成を行っているということです。さらに、それを裏付け強化するような情報収集をすることで、そのサイクル=情報形成をどんどん強化していくということです。

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