2.5トンを超える重量級の車体だが、発進直後から最大トルクを発揮するモーターのおかげで、加速は実にスムーズ。
後輪駆動だが、速度が上がっていっても昔のクルマのようにフロント部が浮き気味になることもなく、よくいうところの“矢のように”アウトバーンを疾走することができた。

室内は広く、2人乗りの商用車が姉妹車とは思えないほど、乗り心地がよく快適だ。
シートの出来もよく、特にロングホイールベース車では3列目のシートでも、おとなが余裕で座っていられる。デザインもすっきりして、日本車にはない特長になっている。

フォルクスワーゲン グループ ジャパンでブランドディレクターを務めてきたイモー・ブッシュマン氏は発表会場で「未来に向かうフォルクスワーゲンのブランドアイコンとして、大きな役割を果たすことが期待されています」と発言した。
日本に住んで、日本市場を見てきたブッシュマン氏は、ID. Buzzの可能性をどのように見ているのか。この電動ミニバンの「いいところと悪いところ」について、氏の視点を尋ねた。
唯一無二でも大きな課題が2つ
「いいところは、このクルマには似たものがないということです。市場を見ても、ID. Buzzのように、ヘリテージ(Type 2をオリジンとすること)と最新技術を組み合わせたBEV(バッテリー駆動EV)はありません」

次に、むずかしさについてブッシュマン氏は語る。
「電動車マーケットの規模です。ご存じのように、BEVの市場は日本では大きくありません。しかし、輸入車をみるとBEVが占める割合は比較的大きめで、進取の気性に富んだ人が、排ガスを出さず、大人数が乗れて移動できるID. Buzzに興味を持ってくれるのでは、と期待しています」
ブッシュマン氏は言わなかったが、もうひとつID. Buzzに課題があるとしたら、ボディの大きさだろう。
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