韓国で100万人超動員のR18+映画『秘顔』が日本上陸 《露骨な性描写》も意味がある! 壮絶「トンデモ復讐劇」に日本人も惹かれるであろう理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

裕福な家庭でわがまま放題に育てられ、自分本位で気の強いスヨン。彼女とその母にプライドを傷つけられ、オーケストラでの指揮者としての信頼も脅かされるソンジン。

彼らのキャラクター造形は、王道のように見せておきながら、ラストでそれを軽々と飛び越えて、観客の予想を裏切る。既存のジャンルや物語設定を新たな視点で刷新する作品と言えるかもしれない。

ソン・スンホン
指揮者のソンジンを演じたソン・スンホン(C)2024 [STUDIO&NEW, SOLAIRE PARTNERS LLC]. All Rights Reserved.

予測不可能な復讐劇でありつつ、共感も生む

大枠では、韓国映画らしい、予測不可能な復讐劇なのだが、登場人物たちの細かな感情の揺れや、にじませる情感に、現代社会を生きるわれわれとの細かなリンクがある。

だから、ストーリーに引きつけられるし、物語を人ごととは思えずに、登場人物たちの気持ちに思いを馳せる。人は誰しも複雑な内面を隠し持ち、それがときに垣間見えることがある。そんなことも考えさせられる。

ただ、その世界観には驚きがあり、十分おもしろいのだが、見るのにはカロリーを要する(疲れる)映画だ。スクリーンで繰り広げられる憎愛劇が、まるですぐ身近な場所で起きているような錯覚に襲われる、演出とストーリーテリングのマジックがある。鑑賞をリピートするかと聞かれれば、1回でお腹いっぱいかもしれない。

劇中には、女と男、女同士それぞれの立場と心のコントラストが際立つ仕掛けがある。そんな中での、後半からラストの登場人物たちの判断と行動には、もし自分だったらどうするかとつい考えてしまう余韻が残る。もしかすると、現代社会における清濁併せ呑む生き方への覚悟が問われているのかもしれない。

韓国映画『秘顔』
スクリーンで繰り広げられる憎愛劇が、まるですぐ身近な場所で起きているような錯覚に襲われる(C)2024 [STUDIO&NEW, SOLAIRE PARTNERS LLC]. All Rights Reserved.
【もっと読む】吉沢亮主演『国宝』大ヒットの背景に“歌舞伎ファン”の圧倒的な支持 「上映3時間」「難解なテーマ」ながら、なぜ若者にも支持されるのか? では、ライターの武井保之氏が、一大ムーブメントになっている映画『国宝』の人気の背景を詳細に解説している。
武井 保之 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事