「本当は皆ウンザリ?」≪パーパス経営≫が従業員の心に響かない残念な理由
もちろん、発端がどうであっても、パーパス経営によって従業員の仕事が改善されればよいわけですが、これが難しいところ。ESGを意識して経営をすることが従業員の仕事をどう変えるのかを具体的に示すことに、多くの“パーパス経営先進企業”が苦しんでいます。
「地球環境を重視したパーパスができて、環境保全・広報・IRといった本社部門の一部は大いに沸き立っています。しかし、大半の社員は『ああ、本社がまた何かやっているね』という程度で、職場で話題に上ることはありません」(電機・40代男性)
押し付けに反発も
仮に、パーパスが従業員の業務や行動にしっかり紐づけられたとしても、従業員が意欲的に働くようになるとは限りません。経営者から押し付けられたパーパスに従業員が反発することがよくあります。
「わが社のパーパスは、創業者の理念や世の中のトレンドをしっかり踏まえていて、非常によくできています。ただ天の上から降ってきた感じが強くて、『よし、実現に向けて頑張ろう!』という気にはなれません」(食品・40代女性)
合理的に物事を考える経営者やコンサルタントは、「環境に優しい」「社会の発展に貢献する」といったパーパスを作り、「世の中にとっても会社にとってもよいことなんだから、文句を言わずにやれよ!」と従業員に命じます。
しかし、こういう反論する余地がない完璧なパーパスほど、受け取る従業員は「上から押し付けられた」「疑問すら発してはいけないのか」と感じ、やる気を失ってしまうのです。
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