今回イギリスで乗ったミニ・ジョン・クーパー・ワークスEとミニ・ジョン・クーパー・ワークス・エースマンEの2台は、ともにバッテリー駆動のEV(BEV)がベースだ。
さらにパワーを上げて、より俊敏な操縦性を与えることで「新しい市場が開拓できるはず」と考えての企画だろう。

BEVはそもそも、ごく低速でモーターの持つトルクのほぼすべてがしぼり出されるという特性をもつ。
だから、数値的にはちょっとしょぼく感じられても、実際に走らせてみると期待以上に速いことがしばしばある。
今回、イギリスでICE車(エンジン車)と並行して乗った2台の“BEVのミニ”も、まさにそんなクルマだった。
ミニ・ジョン・クーパー・ワークスE(JCW E)とミニ・ジョン・クーパー・ワークス・エースマンE(エースマンJCW E)が興味深いのは、独自の考え方にある。
どうやって電動ミニの高性能版のキャラクターを確立していくべきか。開発者はそのコンセプトを練り、実現させている。

「今回、2台のICEと2台のBEVに同じタイミングで乗っていただいたので、ひょっとしたら感じているかもしれませんが、それぞれのモデルが独自の味付けを施しています」
テストドライブの会場でインタビューに答えてくれたドライビングダイナミクスの責任者、パトリック・ホイスラー氏は、そう語った。
そのうえで「でも……」とつけ加える。
「開発陣が最も意識したのは、フィーリングです。たとえ目隠ししてステアリングホイールを握っても、走り出したとたんにJCWだとわかるような味つけをすることでした」
戻ってきたゴーカート・フィーリング
ではどうやって“味付け”を行ったのだろう。JCWの特徴はいかなるものかと、開発陣は捉えているのだろうか。
「ひとつはサスペンション。スプリングは、レートを上げています。つまり硬めです。加えてバンプストップによる足まわりのチューニングで、ニュートラルなステアリング特性を保つようにしました」

さらにホイスラー氏は説明をつづける。
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