スマホ新法の影響でアップルが機能制限を検討、EUでは既にiPhoneミラーリングが提供されず。競争促進法により新機能が日本でも制限される懸念

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アップルは、DMAに対しても、スマホ新法に対しても、プライバシーやセキュリティ、ユーザー体験、適切なペアレンタルコントロール、課金の安全性、詐欺の防止など、消費者を守るために、App Storeの現在の環境を保つべきだと主張する。

ここが、どうにも議論が噛み合わないポイントだ。

アップルのプラットフォームを開放する動きも

いくらアップルがユーザーの利便性や安全性の保護を訴えても、競争法にとってはあまり効果がない、と見るべきではないだろうか。

他方、日本では、スマホ新法を後押しし、アップルのプラットフォームを開放する動きも出てきている。グーグル、メタ、クアルコム、ガーミンの4社が日本で設立した業界団体「オープンデジタルビジネスコンソーシアム」は、日本で50%のシェアを握るiPhoneにおいて、デジタルサービスの選択の自由やシームレスな接続性、相互運用性の実現を目指すとしている。

スマートフォンソフトウェア競争促進法の概要と期待される効果
『スマートフォンソフトウェア競争促進法の概要と期待される効果』の中で、公正取引委員会事務総局経済取引局総務課デジタル市場企画調査室室長補佐の曽田竜市氏が作成した、スマホ新法の消費者メリットの説明図。消費者にとっては、選択肢の確保と、良質で低廉なサービスの享受を挙げている(『国民生活』2025.02より引用)

クアルコムとガーミングは、iPhoneとシームレスに連携するAirPodsやApple Watchと同様のユーザー体験を実現するため、Bluetooth関連の機能開放を目論むとみられる。

しかしグーグルやメタは、プラットフォーマーでありながら、アプリ開発者としての立場もあり、アプリが取得可能なデータの拡大などを目論むことになるだろう。ここでも、消費者の「選択制の拡大」や、小規模開発者の「参入阻害の防止」といった目的が果たされていないことがわかる。

そのため、アップルは競争法に際して、小規模開発者が不利益を被っていない点をアピールするしかない。ゆえにWWDC25でのプラットフォームと競争法の問題への言及がなかったことが、「不十分だった」と指摘せざるを得ないのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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