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韓国新政権が日本を重視するのは意外ではない、背景にある厳しい安全保障環境から読み解く韓国の戦略的な思考

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ただし、朝鮮戦争直後には7個師団駐屯していたアメリカ陸軍は休戦に伴い4個師団まで削減され、ベトナム戦争末期の1971年には陸軍約2万人が撤退。1978年にはさらに陸軍約3000人が撤退した。

2004年には在韓陸軍第2歩兵師団の第2旅団が、戦車よりも移動性に優れたストライカー装甲車の部隊として再編された後イラクに派遣され、韓国ではなくアメリカ本国に帰還した。第2旅団は2022年から韓国に再配備されており、今回、報道でグアムなどへの移転の対象とされたのもこのストライカー旅団だ。

アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長のビクター・チャ氏は2025年4月23日、ソウルで開催されたフォーラムの場で「韓国の新政権は、トランプ政権が台湾有事に備えて新たな防衛能力を模索する中、在韓米軍の『戦略的柔軟性』に対応しなければいけなくなるだろう」と述べた。

台湾問題に関与したくない韓国

戦略的柔軟性という概念は初めて出てきたものではない。ジョージ・W・ブッシュ政権は2001年の9・11テロ後、特定の国や地域に常駐する部隊はテロの脅威や住民の反発に直面しやすいと、地域間を移動できる戦略的柔軟性の獲得を目的とした米軍再編を実施した。第2旅団のストライカー旅団としての再編とイラク派遣は、まさに戦略的柔軟性の象徴だった。

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