人類史上1位&2位の大富豪はともにアフリカ出身!?【世界の富豪史】イーロン・マスクが破った「人類史上最も裕福な男」とは

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やがてヨーロッパ勢力は西アフリカ沿岸各地を、主要産品にちなんで名付けていきました。たとえば奴隷海岸や象牙海岸、黄金海岸などです。象牙海岸はフランス語で「コートジボワール」です。今の国名にも残っていますね。黄金海岸は英語で「ゴールドコースト」です。同地はやがてイギリス領ゴールドコーストとなり、それが独立してガーナになりました。

マンサ・ムーサを超える富豪たち

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このように、西アフリカでは金が豊富にとれ、その交易を掌握することでガーナ王国やマリ王国といった国が繁栄したわけです。現在のガーナやマリが独立する際に、かつて西アフリカで繁栄したこれらの王国の名前を国名に選んだのも納得ですね!

しかし、残念ながら現在のアフリカは全体として、世界的にみると経済的に貧しい地域となっています。

この背景として、多くの人間をアフリカから連れ去った大西洋奴隷貿易や、独立後も続くモノカルチャー経済をつくりあげた植民地支配なども指摘されています。

現在、世界の大富豪の資産は急増しています(ちなみに『フォーブス』の世界長者番付によれば、最もビリオネアの数が多い国はアメリカ)。

オックスファムという国際NGOが2025年初めに出した報告書によれば、現在の傾向が続くと10年以内にビリオネアならぬトリリオネア(1兆ドル保有者)が5人誕生するだろうとのことです。イーロン・マスクに続いて、どんどんマンサ・ムーサを超える富豪が誕生するともいえます。

同報告書で貧困状態にある人々の数は1990年からほとんど変わっていないとされているのにたいし、超富裕層の富はどんどん増えているのです。

イーロン・マスクがマンサ・ムーサを抑えて人類史上最も裕福な人になったという「事件」は、超富裕層への富の集中という現在の趨勢を象徴するものといえます。しかし同時にこの「事件」は、あくまでかかる趨勢のいち通過点に過ぎないことを、我々は認識しなければならないでしょう。

マンサ・ムーサの時代と違ってグローバル資本主義が地球を覆っている現在、ありきたりな言葉を使えば、かかる趨勢を「他人事」と切り捨てることはできないのです。

法念 現役東大生ラッパー

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ほうねん

東京大学大学院・総合文化研究科在籍。
1998年生まれ。本名は臼井幹博。東大入学後すぐに休学し、ガーナへ渡航。同文学部卒業後、同大学院で西アフリカ史を研究している。著書に『東大生ラッパーが教える ラップで学ぶ世界史』(彩図社)、『アフリカの歴史と今がわかる本』(星海社)がある。

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