「四季報・夏号」3900社の記事を読み込んだ編集長が注目したポイント サンリオ、神戸物産、パルグループ…
編集部でも議論を重ねましたが、90日間延期されているような国・地域別の追加関税は織り込んでいませんが、世界一律ですでにかかっている10%の追加関税は織り込んで予想しました。あと自動車など個別の製品にかかる関税は、5月末時点の関税率をベースに、会社側の試算も考慮しながら業績予想を出しました。
マツダ(7261)などは、関税の影響が不透明すぎるということで、今年の業績予想を非開示にしました。一方、トヨタ自動車(7203)やホンダ(7267)は業績予想を開示しましたが、
ROE改善度のトップはサンリオ
――そうした中、今号で編集長として「これは!」と気になるポイントはありましたか。「四季報」の前のほうの「特集」欄では毎回ランキングも掲載されていますが。
そういう点では、今回の特集で扱ったDOE(自己資本配当率)とROE(自己資本利益率)は、編集部として注目したポイントです。ROEは資本に対する利益の割合で、DOEは資本に対する配当の割合です。つまり、いずれも資本に対してどれだけの収益性があるのか、株主還元にどれだけお金を回しているのか、その数字を見るとわかるわけです。
――DOEとROE、最近よく聞く印象があります。
はい。昨今、ROEの改善を経営目標として掲げる企業が非常に増えていますし、株主還元のひとつの目安として「DOE何%」といった形で掲げる会社も急速に増えていますね。
――それらのランキングで目を引いた点はありますか。ちなみに今回の四季報で、ROE改善度のランキングでトップになったのはサンリオ(8136)ですね。ハローキティなど多数のキャラクターを展開する……。
そのサンリオですが、実は過去を振り返ると、よい時期とそうではなかった時期がある会社です。2010年代の前半ぐらいは海外を中心にハローキティが人気で、日本の“カワイイ”を牽引したりして、非常に好調だったんですが、それ以降は業績が低迷した時期が長くありました。

サンリオでは創業者の辻信太郎さんが、90歳を過ぎるまで長く社長をやられていたんですが、2020年にお孫さんである辻朋邦さんが社長になられて。外部からマーケティングの専門人材を招聘してきて重要なポジションにつけたりとか、さまざまな変革に取り組まれた。そのことが今、成果として、業績として出てきているのではないかと。そうした中でROEもかなり改善してきているように思います。