鉄道?それともバス?「富士トラム」詳細明らかに 長所多い「夢の乗り物」だが今は「絵に描いた餅」
また、記者が「ゆりかもめ」などの新交通システムに強みを持つ三菱重工業の担当者に以前取材した際、担当者は「磁気マーカーや白線に沿って走る方法も研究している」と話していた。三菱重工は5月19日に蓄電モジュールによる架線レスおよびゴムタイヤ走行する新交通システム「Prismo(プリズモ)」を発表している。

プリズモは、最小曲線半径22m、最大勾配100パーミルを通過可能。「富士スバルラインに走らせることも可能か」と尋ねると、「うーん」と考え込んでしまった。即答は難しいようだ。あるいはすでに富士トラムに関するヒアリングを受けており、コメントできなかったのかもしれない。
技術的なハードルは高い
ともあれ、富士トラムはプリズモよりもさらに難易度が高い。水素燃料電池も動力源として活用するためだ。磁気マーカーによる自動運転、蓄電池、水素燃料電池といった要素技術をすべて合体させて、しかも富士山という過酷な環境下で走行するのは容易でないことはすぐにわかる。また、一般道路上の走行については、世間一般の自動運転の流れにも合わせていく必要がある。
そう考えると富士トラムとはLRTやEVバスの弱点を解消する「夢のような乗り物」であるが、現状では「絵に描いた餅」にすぎない。この点は和泉統括官も認識しており、「自動運転技術の実装化の進捗次第では手動での運転も検討するほか、動力源についても柔軟に対応したい」と述べた。「以前、LRTありきではないと話したが、今回も富士トラムありきではない。無理やり導入することはせず、鉄道とバスの“いいとこ取り”ができるほかの技術が出てくればそれを採用してもいい」。
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