鉄道?それともバス?「富士トラム」詳細明らかに 長所多い「夢の乗り物」だが今は「絵に描いた餅」

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県はリニア中央新幹線の開業に合わせてリニア駅への乗り入れを実現したい考えだ。リニアの開業時期は未着工の静岡工区が着工して最短で10年後とされているから、今着工すればリニア開業は2035年ということになる。だが、イコモスの求める来訪者コントロールは「喫緊の課題」(和泉統括官)であり、富士スバルラインへはリニア開業よりもさらに早く導入したいという。つまり、導入時期はまず富士スバルライン、その後はリニア開業時という二段構えとなる。

そう考えると時間はあるようでない。和泉統括官は「海外から車両を持ってくればすぐに実装できる」というが、一方で、「海外の車体は日本の規制の定めよりもやや大きい」とも話しており、そのまま持ち込めるかは未知数だ。日本に合わせるため車体の再設計が必要になれば時間も金もかかる。

「国産車両」導入できる?

長崎幸太郎知事は車両を国産化したいという意向を持つ。中国製ということで経済安全保障の観点で懸念があることに加え、県内メーカーの部品を活用して産業振興にも役立てたいと考えているのだ。県によれば、委員からは「日本の象徴である世界遺産富士山に導入する新システムとして、できるだけ日本企業が製造に関与・参加することが望ましく、また夢があることが必要」という意見があったという。

イノトランス ART CRRC
2024年にドイツ・ベルリンで開かれた国際鉄道見本市「イノトランス」で中国中車(CRRC)が展示したART(右)(記者撮影)

調査報告書には、車両メーカーなどへのヒアリング結果も紹介されており、「車両の新造については、富士山特有の線形(曲線や勾配)や厳しい気象条件による技術的課題がある」という記載があった。

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