鉄道?それともバス?「富士トラム」詳細明らかに 長所多い「夢の乗り物」だが今は「絵に描いた餅」

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しかし、軌道整備は大掛かりな工事を伴うため、「自然破壊につながる。排ガス対策ならEVバスで十分」という反対論が根強い。とはいえ、EVバスは排ガスこそ出さないが、道路規制が難しいと県は考えている。また、1台あたりの輸送人数がLRTよりも少なく運転士の費用が多額になる。

そこで新たに浮上したのが、富士トラムだ。「磁気マーカーや白線により車両が軌道敷内に誘導されていれば軌道法が適用される可能性がある」と和泉統括官が説明する。LRTのような大工事も不要となり、環境への影響を懸念する反対派にも受け入れられやすい。

導入コストは「LRTの半分以下」

車両の長さは10m程度で着席定員20人。3車体1編成を2連結、つまり全長60mの編成が120人を乗せて自動運転を行う。繁忙期には物理的な連結走行に加え、無線連結による隊列走行も行い、1回の運行で輸送できる人数を増やす。性能面では最高速度は時速100km。最小曲線半径15m、最大勾配130パーミルを通過可能で、最小曲線半径27.5m、最大勾配88パーミルという富士スバルラインの走行には支障がない。

動力源として蓄電池、キャパシタのほか、水素燃料電池の活用も想定している。県は水素燃料電池関連産業の集積・育成を目指しており、富士トラムをそのシンボルとして活用したい意向だ。

導入コストや年間維持コストの試算も発表された。富士トラムの車両は1編成あたり4億円。40編成を導入する予定で、製造費用は海外の事例を参考にしたという。この車両製造費用はLRTとさほど変わらないが、富士トラムなら軌道を整備するコストが大幅に削減され、また、架線から電力を取り入れて走るLRT方式ではなく、蓄電池や水素燃料電池を活用して走ることにより送電設備も不要になる。

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