鉄道?それともバス?「富士トラム」詳細明らかに 長所多い「夢の乗り物」だが今は「絵に描いた餅」
調査報告書で説明されている富士トラムの概要は以下のとおりだ。道路に埋め込まれた磁気マーカーの信号を読み取る、もしくは路面上の白線を光学的に読み取ることでゴムタイヤ走行する。つまり、物理的なレールを設置する必要がなく、道路上を磁気マーカーや白線に沿って自動運転を行う。運転士は必要なく、安全確認やドア開閉を行う係員が乗務していればよい。
大阪・関西万博でも磁気マーカーや「ターゲットラインペイント」と呼ばれる特殊塗料を路面に線上に施工し、電気自動車(EV)バスに取り付けられたセンサーが自動運転を行っている。自動車の分野ではすでに実装化されている。それを鉄道に応用する。
海外では中国メーカーがまさに鉄道車両のように見える車両を製造しており、中国国内でこの方式を使った交通システムが営業運行しているほか、ほかのアジアの都市でも導入予定だという。なお、調査報告書では磁気マーカーと白線の2案が併記されているが、富士スバルライン上に雪が降って白線が読み取りにくくなる可能性を考慮すると、「磁気マーカーのほうが、優位性は高い」と和泉正剛富士山未来・次世代交通統括官が話す。

「新しい交通システム」なぜ必要?
そもそも、なぜ富士スバルラインに新しい交通システムを導入する必要があるのか。その理由については2024年11月18日付記事(『「富士山登山鉄道」、山梨県がLRTに変わる新案構想』)に詳しいが、一言でいえば、富士スバルラインの通行を規制するためだ。
2013年に富士山が世界遺産に登録された際、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスは、自動車の排ガスによる環境負荷の削減と、登山客・観光客が多く来訪者コントロールの実施を求めている。県はスバルライン上に軌道を整備してLRTを走らせれば、「軌道法」に基づき原則として自動車はスバルラインを走行できず、懸案が解消すると考えている。
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