――ロシア、ウクライナの直接交渉が始まった後も双方の攻撃が続いている。それでも2025年内での何らかの外交解決は可能か。

結論から言うと、依然として可能だと考える。なぜなら、侵攻が4年目に入る中で、ロシアもウクライナも、それぞれ政治的、経済的、軍事的に徐々にこれ以上の長期戦が難しい現象が出てきた。外交解決に2024年夏に舵を切ったウクライナに、米欧がそれに協力する形になってきた。
一般的にそれぞれの国はその国益に沿って動くが、今回、米欧ウクライナは同じ方向性を向いている。それが完全に同じ方向かどうかはわからないが。ウクライナも外交解決にはノーと言っていない。これは2024年の今頃と異なる。
ウクライナとの直接対話を忌避してきたロシアも、直接対話に応じるようになってきた。ロシアは相変わらず民間住居地区に空爆を加えてはいるが、2024年の今頃と比べると、明らかに関係者が外交に向け動き出している。ウクライナとの話し合いに応じるようになってきた。
対ロ政策の強化が必要
――具体的には米欧は何をすべきか。
まず、対ロ政策の強化だ。第1に対ロ制裁の強化、アメリカによるロシアのエネルギー部門への制裁が必要だ。石油価格が下がるような制裁が必要である。これについて、アメリカ議会が制裁強化に前向きな動きが出ていることを注目している。
ロシアは侵攻目的を達成していない。ウクライナは自国の住宅地域への空爆を続けているロシアの戦略空軍基地などへの攻撃を続けている。ロシアの5つの空軍基地へ攻撃が行われ、戦略爆撃機が40機以上、破壊された。これは正当な軍事攻撃の一環だ。
ドローン攻撃による空港閉鎖でロシアの一般国民も痛みを感じている。プーチン政権に対する圧力になっていくだろう。
外交解決に必要なこととして、侵略した側であるロシアが侵略をやめるという決断をすることが第1だ。それには、ロシアに圧力を掛けていくことが必要だ。侵攻で生じる痛みをより如実に感じる状況が生まれるようにすべきだ。
それにはウクライナ、そして、米欧、日韓オーストラリアが支援していくことが必要だ。局面が外交に移ってくると、自分の国益、戦争が終わった後の自国の立ち位置を考え始めるので心がひとつになりにくい。
ここは、ウクライナを中心に米欧アジア、グローバル・サウスが支援することが大事だ。2025年は外交解決するために極めて重要な局面に立ち入っている。国際社会は最後まで諦めるべきでない。
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