伊藤忠の「事業撤退を検討する基準」3つとは?グループの”黒字会社比率9割越え”を実現する鉄の掟を解説!

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(撮影:梅谷秀司)
海外投資家として日米両市場で40年以上にわたり活動してきたワイズマン廣田綾子氏。『海外投資家はなぜ、日本に投資するのか』より、日本企業特有の体質から抜けだし、世界で競争力を高めるために必要なことを解説します。

赤字部門の撤退基準を先に明示せよ

「クローニー資本主義」とは「お仲間資本主義」とも訳され、閉鎖的なコネクションや家族関係を軸として構築された経済体制を意味します。クローニー資本主義的な日本企業の体質の問題点として、議論のブラックボックス化が挙げられます。

身内主義が根強く残る企業では、事業部門間の調整が主に密室で進められるため、仮に多角経営、いわゆる企業のコングロマリット解体の機運が高まったとしても、投資家からは議論のプロセスは窺い知ることができません。

せっかくノンコア部門の切り離しを含め経営効率化に向けた一歩を踏み出したとしても、その時点で着地点があまりにも見通しにくければ、投資家にとってはかえって不安材料ともみなされかねません。

もちろん経営陣として、企業の在り方を根本から見直す改革の前に、情報発信に慎重になってしまうことは理解できます。そこで、透明性を維持しつつ社内調整を円滑に進めるための有効な手段として、あらかじめ事業から撤退する判断の基準を社内向けのみならず、対外的にも明示しておくというやり方があります。

EXIT基準を明確化しておけば、特定部門を切り離す判断を下す際、投資家への説明責任を果たしやすくなるだけでなく、経営責任者の属人的な恣意性に基づいた判断という印象を和らげ、該当する部門の責任者やそこに所属する関係者を説得する際にも役立つことでしょう。

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