「国を富まし、そして窮民を救済せよ」田沼意次の北海道開拓に立ちはだかる障壁と”随一の蝦夷通”に引き継がれた野望

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こうして始まった幕府による蝦夷地の調査は、最終的に千島、カラフトまでに及ぶなど、大きな成果を上げることになる。だが、天明6(1786)年に10代将軍の家治が亡くなり、11代将軍・家斉の治世となると、意次は罷免。このプロジェクトは打ち切られてしまう。新たに老中となった松平定信は、松前藩に再び蝦夷地の政策を任せる方針を打ち出した。徳内としても無念だったに違いない。

計9回も蝦夷地に渡り、”随一の蝦夷通”に

だが、その後も徳内は何度となく、蝦夷の地に入っている。計9回も蝦夷地に渡った随一の蝦夷通として、最上徳内の名は知られていくことになった。

最上徳内墓所
谷根千散歩・最上徳内墓所 浄土宗連光寺(画像:髙橋義雄 / PIXTA)

こうして工藤平助の発案が意次を動かして始まった蝦夷地の調査および開拓は、中断を余儀なくされながらも、徳内をはじめとした後世に引き継がれていく。

【参考文献】
賀川隆行『崩れゆく鎖国』(集英社)
島谷良吉『最上徳内』(吉川弘文館)
後藤一朗『田沼意次 その虚実』(清水書院)
藤田覚『田沼意次 御不審を蒙ること、身に覚えなし』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『なにかと人間くさい徳川将軍』(彩図社)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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