「ワクチンが原因では…」予防接種後の運動中に突然死した愛犬。男性が深く後悔した"死の真相"とは――飼い主の無知と不注意がもたらした悲劇

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散歩や運動は気温の高い日中を避け、比較的涼しい早朝や夕方に行うようにしましょう。

日中はアスファルトの表面が高温になり、散歩に出たイヌが肉球をやけどしてしまうことがあります。肉球のやけどが直接命にかかわることはありませんが、痛くてつらい思いをさせないに越したことはありません。

「サマーカット」も有効

被毛が多いとやはり熱がこもりますし、蒸れによって皮膚病を起こしやすくなりますから、夏の間は毛を短めにカットしてあげることも有効です。

子どもの頃に飼っていたシェルティーは、毎年夏になるとトリマーさんに「サマーカット(ライオンカット)」にしてもらっていました。毛が短くなると、本当に気持ちよさそうにしていたものです。

ただし、毛を短くすることで紫外線にさらされやすくなって皮膚炎を起こしたり、直射日光があたって逆に熱中症になりやすい場合があったり、蚊やダニに刺されやすくなったり、といったデメリットもあります。

サマーカットする場合は、一度かかりつけの動物病院に相談するとよいでしょう。

動物の飼育のプロがいる動物園や水族館でも、夏の間に熱中症や脱水で体調を崩し、命を落とす動物が少なくありません。最近は人間に飼われる動物も高齢化していますから、加齢によって臓器の機能が低下している場合には、わずかな体温上昇で急激に体調を崩すこともあります。

「これまでの夏も大丈夫だったし、今年の夏もきっと大丈夫だろう」と甘く考えないように。

日本の夏は、ほんの少しの油断で大切なペットを失いかねない――ということを、これから本格的に夏を迎えるにあたってぜひ心に留めておいてくださいね。

中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家

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なかむらしんいち / Shinichi Nakamura

1982年生まれ。大阪府出身。岡山理科大学獣医学部獣医学科講師。獣医師、博士(獣医学)、獣医病理学専門家、毒性病理学専門家。麻布大学獣医学部卒業、同大学院博士課程修了。京都市役所、株式会社栄養・病理学研究所を経て、2022年4月より現職。イカやヒトデからアフリカゾウまで、依頼があればどんな動物でも病理解剖、病理診断している。著書に『獣医病理学者が語る 動物のからだと病気』(緑書房,2022)。

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大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者

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おおたに ともみち / Tomomichi Ohtani

1982年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒業。同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻修士課程修了。同博士課程中退。出版社勤務を経て2015年2月にスタジオ大四畳半を設立し、現在に至る。農学・生命科学・理科教育・食などの分野の難解な事柄をわかりやすく伝えるサイエンスライターとして活動。主に書籍の企画・執筆・編集を行っている。著書に『増補版寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』(講談社)、『眠れなくなるほどキモい生き物』(集英社インターナショナル)、『ウシのげっぷを退治しろ』(旬報社)など。

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