中国自動車市場で「走行距離ゼロの中古車」が急増 裏にメーカーの過剰生産、ロシアにも大量流入

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「零公里二手車はずっと前から存在しており、その裏には自動車メーカーの過剰生産体質がある」。中古車の流通に詳しい専門家の王萌氏は、財新記者の取材に対してそう述べた。王氏の推計によれば、2024年に中国の国内市場で取引された零公里二手車は40万〜60万台に上るという。

長城汽車の魏建軍・董事長は、「零公里二手車」の増加が中国自動車市場の秩序を乱していると警鐘を鳴らした(写真は同社ウェブサイトより)

ある外資系自動車メーカーの販売部門の社員によれば、零公里二手車を中古車市場に主に供給しているのは新車ディーラーだ。

自動車メーカーはディーラーに対して、販売台数や目標達成度などに応じたさまざまなインセンティブを提供している。そのためディーラーは、インセンティブを獲得する(ことで総合的な仕入れコストを引き下げる)ために実際には販売していない新車を自社登録し、中古車市場に流しているという。

海外への輸出も急拡大

零公里二手車が流通しているのは国内の中古車市場だけではない。もう1つの流通ルートとして急拡大しているのが中国国外への輸出だ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

中でもロシア向けの輸出が顕著に増加している。ロシアが2022年2月にウクライナ侵攻を開始して以降、西側の自動車メーカーがロシアから相次いで撤退したため、市場に供給の空白が生じた。中国の貿易業者はこの商機を見逃さず、(国内でさばききれない)零公里二手車の輸出に乗り出したためだ。

業界団体のデータによれば、中国の中古車輸出台数は2022年の6万9000台から、2023年は27万5000台、2024年は43万6000台へと、わずか2年で6倍以上に急増した。その中には零公里二手車のロシア向け輸出が多数含まれていたとみられている。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は5月30日

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