小田急線、世田谷代田駅の「知られざる地下空間」 ドラマで脚光浴びた駅に残る“難工事の痕跡”

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地上のコンコースも天井の丸い窓から太陽光が差し込むデザイン。屋上には太陽光発電システムを設置して、駅の照明に利用している。コンコースの両端に改札口。開放感ある正面玄関の西口に対し、ICカード専用の東口は木々に囲まれ、地元の人だけが知る隠し通路のようで対象的だ。

世田谷代田―東北沢間の地上の線路跡地は「下北線路街」として整備された。「由縁別邸 代田」は箱根・芦ノ湖の源泉から湯を運んだ“温泉旅館”で、都会にいながら「山里の温泉地のようなくつろぎ」を体感できるという。

世田谷代田駅 東口
東口は緑の木々に囲まれて一見すると駅の出入り口があるとは思えない場所にある(記者撮影)

現在の地上駅舎は、2022年に川口春奈さんとSnow Manの目黒蓮さんが共演したフジテレビ系ドラマ「silent(サイレント)」のロケ地として注目された。

小田急もドラマの人気にあやかって「ロケ地マップ」を作成、全70駅で配布した。世田谷代田駅の2番ホームや西口改札、駅前広場とベンチ、代田富士見橋などを紹介。ドラマのロケ地巡りを機に周辺エリアを周遊してもらう狙いを込めた。

【写真をもっと見る】ドラマ「silent(サイレント)」で一躍有名になった小田急の世田谷代田駅。関係者でも滅多に入る機会がない地下深くの"急行線階”を独占取材。複々線化事業の工事中、仮のホームが設置されていた場所はいま…?

訪れる人が急に増えた

工務部(施設担当)の糟谷拓海さんは「すごくたくさんの方に来てもらいました。駅のトイレの水の使用量が通常の1.5倍くらいにぐんと上がったので、漏水しているのだろうと勘違いして業者を呼んでしまったほどです」と振り返る。

駅員の田村雄二さんは「おしゃれなお店がたくさんあって、個人経営のカフェだとか、シュークリーム屋さんだとか、店舗名で場所を聞かれることがあります。ほかの駅は区役所への行き方などを案内することが多いので世田谷代田ならではの特徴ですね」と話す。

小田急世田谷代田駅 駅員
世田谷代田駅の駅員、田村雄二さん(記者撮影)

各駅停車しか停まらない地味な存在だが、その落ち着いた街並みにある店舗やロケ地巡りを目当てに沿線外から人が訪れようになった世田谷代田駅。地下に広がる空間には小田急の複々線化工事をめぐるドラマも隠されている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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