サンリオ「窮地のアメリカ」で復活導いた3つの転換 なぜ「6期連続赤字・大リストラ」から過去最高利益へと変貌を遂げられたのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
業績も株価も絶好調のサンリオ。中でも躍進が際立つ北米事業は、現地子会社と本社が連携した構造改革により、赤字体質から抜け出した(撮影:今井康一)

ウォルト・ディズニーの本拠地、アメリカ。キャラクター商品の世界最大市場で、3度のリストラを余儀なくされたサンリオが今、大復活を果たしている。

サンリオが5月13日に発表した2025年3月期業績は、売上高1449億円(前期比45%増)、営業利益518億円(同92%増)と大幅な増収増益だった。営業赤字に沈んだ2021年3月期と比べ、4年間で売上高は3.5倍に伸び、時価総額も約12倍の1兆6000億円に到達した。

とくに目覚ましい成長を遂げたのが北米事業だ。北米では、ハローキティなどのキャラクターの商品化権を小売量販店やアパレル事業者などに許諾して、売り上げの一部をロイヤリティとして受け取るライセンスビジネスを中心に展開している。

前期実績は売上高276億円(前期比120%増)、営業利益は過去最高の89億円(同213%増)を記録。2022年3月期まで6期連続赤字と足を引っ張る存在だったが、国内事業に次ぐ大黒柱へと転身を果たした。

アナ雪にも押されブームは終焉

実は連続赤字に陥る前、北米事業はかつてない活況を呈していた。2008年頃からライセンスビジネスの本格展開を始め、2010年代前半にはレディー・ガガら海外セレブがハローキティグッズを愛用したこともあって、ハローキティが一大ブームとなった。

「ピーク時はライセンス先から大量の電話がきて、契約すればどんどん売り上げが上がっていった。(商品を)すべてチェックする余裕もなかったようだ」。2018年にサンリオのアメリカ子会社に入社した宮島啓CFO(最高財務責任者)は、当時の状況をこう見る。

しかし、2013年に公開されたウォルト・ディズニーの映画「アナと雪の女王」(原題:「Frozen」)が大ヒットすると、ウォルマートやトイザらスなど大手小売量販店の陳列棚から、ハローキティの商品は一気に押し出された。その後瞬く間に、売り上げは大きく下降していった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事