「ロボットなのに気を遣っちゃう」「自然とありがとうって言っちゃう」との声も…。ガスト「猫ロボット」が我々日本人に刺さる理由

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実はこの「かわいい」という感情が、ネコ型ロボを考えるのにキーポイントになるのではないか、と私は考えている。

このロボットの開発者であるPuduロボティクスの開発者・陳鵬氏は「日本はロボットを愛でることを大切にしていて、ベラボットにも『とんかつちゃん』など名前を付けてくれていました。“かわいい”の文化が根付いているからか、ロボットのキャラクター面に強い関心が集まった」と述べている。

「かわいい」という言葉は日本独自の感情であり、外国語でも「kawaii」と訳される。その感情は、どんなものなのだろうか。

枕草子から考える「なぜ猫ロボはかわいいか」

日本で最初に「かわいい」という言葉を今の意味で使ったのは清少納言の『枕草子』だといわれている。そのエッセイでは、「小さいおかっぱ頭の女の子が、髪が額に垂れたまま何かを見つめる姿」や、「瓜に書いた赤ちゃんの顔」が「うつくし(かわいいの古語)」と表現されている。ある種の「不完全さ」を見つめるポジティブな感情として「かわいい」はあるのだ。

いろいろな実験でその感情は「ベビースキーマ」という、赤ちゃんを見るときに感じる感情と親和性が高いことがわかっている。赤ちゃんに対して私たちが感じる、あのどこか大人と比べると不完全だがそれゆえに愛おしい、その感情を「かわいい」というのだ。

「猫」もそうであろう。天真爛漫で予測不可能な行動をする。犬のようにちゃんとしている動物に比べたら、このうえなく不完全だ。だが、それゆえに謎の愛らしさがある。その「猫」がモチーフになっているロボットだからこそ、日本人が愛着を持てるのではないか。

猫ロボット
猫ロボットからだと、アンケートを頼まれると答えたくなってしまう(筆者撮影)

そもそも「配膳ロボット」自体が「不完全」な存在でもある。センサーが誤反応して「通れません」と言ってしまったり、料理をこぼしてしまうこともある。さらには、なでると最初は「嬉しいにゃ〜」と言ってくれるのだが、なですぎると怒られる。

かなり攻めた作りで、いわゆる「完璧なロボット」とは違う。開発者の陳氏は「いわばAIロボットは人間に比べると“半人前”。だから許された状況もあるのかも」と述べている。その不完全さが「かわいい」感情を刺激した。そこに「猫」である。これは最強と言わざるを得ない。

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