BYDはなぜこのタイミングで値下げを打ち出したのか。その狙いは同社を猛追する吉利を引き離し、中国市場でのシェアを維持・拡大することにあるとみられている。
乗聯会のデータによれば、吉利の乗用車販売台数(ディーラーでの実売ベース)は2025年1月から4月まで累計で前年同期比63.6%増加したが、同じ期間のBYDの伸び率は14.9%にとどまった。

BYDは2025年のグローバル販売台数を500万台に引き上げる野心的な目標を掲げている(訳注:2024年の販売実績は427万台)。中国自動車業界の「価格破壊王」の異名を取る同社が、本国市場での伸び悩みを看過するわけにはいかない。
過剰在庫の整理も目的か
決算報告書によれば、BYDの2025年1~3月期の粗利益率は20.1%と中国メーカーの中でも高い水準にある。このことは、価格競争を勝ち抜くための余力が(相対的に)大きいことを意味する。

今回の販促キャンペーンは(販売店が抱えた)過剰在庫の整理を目的にしているとの見方もある。乗聯会のデータによれば、中国全土の自動車販売業者が保有する乗用車の在庫は4月末時点で350万台と、3月末より15万台増加。この時期としては過去最大のレベルにある。
乗聯会の崔東樹・秘書長(事務局長に相当)は財新記者の取材に対し、在庫膨張の背景を次のように解説した。
「1~3月期の新車販売は好調で、4月以降も勢いを維持している。だが、メーカーの生産がそれ以上に増加し、在庫水準の上昇を招いている」
(財新記者: 翟少輝)
※原文の配信は5月27日
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