≪脱サラして「専業神職」になった43歳≫“知られざる業務”で得た、勤め人時代とは違う幸せと楽しみ
「商工会では地元企業の経営のご相談などを受けていましたが、専業神職になってからはご祈祷やご葬儀などを通じて、より地域の皆さんのプライベートな部分に触れることが多くなりました。それぞれの願いや思いに心を揺さぶられる場面も多く、勤め人時代とは違うやりがいを感じています」
当初は浅間神社の権禰宜のみだったが、2024年に同神社の宮司が兼務していた金時山猪鼻神社など3社の宮司を任された。2025年には高齢で引退した神職から、勝又さんが現在本務とする永原大神宮など13社の宮司も引き継いだ。

「まだ各社の宮司を引き継いだばかりですが、コロナ禍でお祭りを簡略化していた地域の方々から『宮司さんのお披露目も兼ねて、今年は昔のように飾りつけを盛大にやろう。みんなで記念写真も撮ろう』と言ってもらえ、うれしさと共に責任を感じています。神職の役割は神様と地域の人々の“仲執り持ち”ですので、皆さんの思いをしっかりと神様にお伝えしたい」
少子高齢化で住民も減っているが「悲観はしていない」
勝又さんが目指すのは「小さなお社(やしろ)であっても、地域の人に誇りを持ってもらえる神社」だ。しかし、少子高齢化によって神職だけでなく、祭りの担い手である住民も減っている課題もある。
「これまでのやり方が難しいことも増えてきましたが、神社のお祭りと鎮守の森は100年先、1000年先も守り続けなければなりません。今ならお祭りを動画に残すこともできますし、再び住民が増えた時に昔はこうやってお祭りをしていたのだと伝える方法はいくらでもあるはず。次の世代に継承する方法を考えることも楽しみの一つです。悲観はしていません」
取材の中で感じたのは、勝又さんのキャリアは珍しいが、サラリーマン時代も含めて“自分ができることで世の中の役に立ちたい”という一貫した思いだ。誰もが人生の後半にさしかかると、今後の生き方を見つめ直す時期が来る。その時に何を重視するのか。勝又さんの生き方は1つの参考指標になるはずだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら