逆に日本人が外国に行ったとき、その国の料理をすべておいしく感じるか? と言われると難しいのと同じではないだろうか。
外国人観光客が日本で食べたい日本食は何なのだろうか。
ちなみに、この店ではコーラの注文がとても多かった。外国人、特にアメリカ人は本当にコーラを愛しており、日本人が麦茶を飲むような感覚でコーラを飲むというが、それは京都の飲食店でも実感できた。
観光地に行けば「その土地ならではのものを体験したい」というのはおそらく世界中の観光客が思うことだろうが、やはり慣れ親しんだ味の安心感は格別で、抗いがたい魅力があるのだろうと腑に落ちた。

そして再び洗い場へ戻る
さきほど皿洗いですごい曲芸を見せてくれた青年がバイトを上がる時間になったらしく、私は再び洗い場へとバトンタッチした。
彼のスタイルを少しでも取り込もうと意識しながら作業を行ったところ、最初に洗い場に就いたときよりも幾分かスムーズになり、返却棚が渋滞になるようなこともなくなった。
狭い厨房で作業効率を上げるには、狭さに特化した工夫が必須である。彼の曲芸のような作業は、彼なりに最適解を求めた結果なのである。
大勢の観光客で賑わう清水寺の参道。そこにある人気飲食店で、お店を止めないように獅子奮迅の働きをする青年は、「お疲れさまでした!」と爽やかな笑顔で参道に消えていった。
さあ、夕方までどんどん洗うぞ。タクシー代を取り戻さないとな。
この日の労働では、時給1250円の5時間、交通費500円で、6750円が支給された。

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