パナと日本サッカーを牽引する! 「ガンバ大阪」新社長が《売上高100億円クラブ》の先に見据える野望の"源泉"
サッカー界で30年以上働いてきた水谷社長は、その現実を熟知している。だからこそ、ここからクラブ全体を高い領域へと導いていくことが、彼に託されたタスクなのだ。
「今、Jリーグとして若い世代の集客を増やす試みを積極化しています。われわれの場合はスタジアムが新しく、トイレなども使いやすいという利点があるため、若い女性や子ども連れの観客が増えていると実感しています。そういう新たな客層を掘り起こすため、お笑い芸人を呼んだり、『GENERATIONS』のダンスパフォーマンスを実施するなど、さまざまなイベントを開催しています。
われわれは浦和や鹿島とともに1993年のJリーグ開幕当時からのコアなサポーターの定着率も高いですが、新たな世代にも積極的にアプローチしている。その努力が今後につながると前向きに捉えています」

育成の原点にある松下幸之助の哲学
古き良き伝統を大事にしつつ、新たな時代へのチャレンジができるのが、ガンバの大きな強みだ。とくに選手育成の部分では目を見張るものがある。
過去30年超の歴史をひも解けば、日本サッカー協会の宮本恒靖会長、2002年日韓W杯で2ゴールをマークした稲本潤一(現・川崎普及部コーチ)、2010年南アフリカ・2014年ブラジル・2018年ロシアの3度のW杯で合計4ゴールを叩き出した本田圭佑、森保ジャパンのエースナンバー10を背負う堂安律(現・フライブルク)など、偉大なタレントを数多く輩出している。そういった人材の後を引き継ぐ若い世代を育てていくことで、水谷社長の言う好循環が実現する可能性も高まるはずだ。
「アカデミーの充実というのも、今後の大きなテーマの1つ。昨年、オランダの名門・アヤックスと提携したんですが、提携に際してアヤックスの担当者がJリーグのクラブを調べ育成システムやビジョン、考え方などをリサーチした結果、提携先としてガンバを決めたということなんです。
今年1月にはアカデミーコーチ14人が10日間研修に行きましたが、今はそこで得た基準を現場に落とし込んでいる。選手たちもレベルアップしていますし、近い将来、トップで活躍してくれるかもしれない。彼らが海外に出ていけば、移籍金も入りますし、クラブ経営にとってもプラスになると思います」
水谷社長が選手育成・フロントスタッフの育成を重要視しているのは、パナソニックの創業者である松下幸之助の哲学に共感していることも大きいだろう。「お客様大事」「事業は人なり」「物を作る前に人を作る」といった数々の名言を残した偉大な経営者が作った企業が母体であるサッカークラブの一員になった以上は、その哲学を大事にするべきだという思いに至るのも理解できる。
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