「好んで西武池袋線に住む人はいない」のは本当か 池袋の文化度は「東急系の渋谷」に負けていない

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これはいまに始まったことではない。戦後の高度経済成長期と同期する「団地化」⇒消費資本主義の象徴のような「コンビニ化」⇒近年の著しい「ネット化」という流れは、社会のシステム化の進行過程であり、「郊外化」の歴史といっていいだろう。

だから、そんな「郊外」には住まない、という人もいる。それは収入や趣味の問題であり、その人の勝手だが、そこには「貧乏人は郊外に住め」という考えが含意されているようで、主流になってほしくない考え方だ。しかし、「格差」は自己責任とする昨今の風潮と合致している。それに対抗する方策はあるのか?

西武池袋線にも歴史がある

西武池袋線でよかったね (交通新聞社新書 185)
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簡単な処方箋などあるはずはない。それでも、「郊外で悪かったな」と開き直りつつ、「郊外」としてひとくくりにされている街について、一つひとつ固有の歴史を掘り出すしかないのではないかといいたい。

なんにもないと思われている土地にも歴史はある。それをちょっと知るだけで、「まち」が違ってみえることだってあるはずだ。それをやってみたいと思った。たぶん「西武池袋線」には凝り固まったようなイメージはない。最近、団地がにわかに注目されだしたように、新しい価値を見つけるにはもってこいの地域だと思う。

「西武池袋線でよかったね」には、以上のような含みがある。

杉山 尚次
すぎやま なおじ

1958年、東京生まれ。翌年から東久留米市在住、西武池袋線のひばりヶ丘駅を利用している。編集者。1981年、弘前大学人文学部卒。出版社勤務を経て2007年に独立、2011年から言視舎代表。著書にいずれも共著だが、『響像都市の地政学』(神坂洋名で、上野俊哉編、 1990年、青弓社)、『北多摩戦後クロニクル』(ひばりタイムス企画班編、2024年、言視舎)、『 2都物語 札幌・東京』(鷲田小彌太と、2025年、言視舎)などがある。

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