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「USスチール買収計画」をトランプ大統領が「絶賛」、膨らむ投資額と浮上する黄金株。日本製鉄がこだわる「完全子会社化」はできるのか

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いずれの記事も、アメリカ時間の23日にトランプ氏が自身のSNSに投稿した内容を基にしたものだった。

投稿には、「検討と交渉の末、USスチールはアメリカにとどまり本社をピッツバーグに置く。かつてUSスチールは偉大さの代名詞だったが、復権する」「USスチールと日本製鉄の計画的パートナーシップに基づき、少なくとも7万人の雇用が生まれ、総額140億ドル(約2兆円)の投資が行われることになる。投資の多くは14カ月以内に行われる。ペンシルベニア州史上最大の投資案件だ」と書かれていた。

この投稿を受けて、欧米メディアは「買収を承認」と報じ、日本製鉄は「パートナーシップを承認したトランプ氏の英断に心より敬意を表する」との声明を発表した。日本製鉄によるUSスチール買収がついに実現するようにも見えた。実際、週明け26日の株式市場では日本製鉄の株価が跳ね上がった。

しかし、そこから先がすっきりしなかった。つかの間の株価の上昇分は、ほぼ1日で帳消しになった。冷や水を浴びせたのは、他でもないトランプ氏の発言だった。

アメリカがコントロールする

25日(アメリカ時間)、記者団に対して「(USスチールは)アメリカがコントロールすることになる。そうでないと取引を成立させないだろう。日本製鉄は投資をして部分的に所有権を持つ」と語ったのだ。

部分的所有――。日本製鉄の買収計画はUSスチールを「100%子会社化」するというもの。トランプ氏の言葉とは依然隔たりがある。トランプ氏の発信に振り回される株価の動きは、関税交渉における日本政府の動揺の映し鏡のようだ。

直後には新たなキーワードも浮上した。「黄金株」である。

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