窪田:症状が出たのは、いつ頃ですか?
柿島:2年前、57歳の時でした。ある日、ウォーキングをしていると、突然目の中で「何かが剥がれた」という感覚がしたんです。何度も目薬をさしましたが、違和感は変わらず。
両目で見ると分からなかったのですが、片目ずつ見てみると、目の内側がバームクーヘンのような扇形に欠けているのが分かりました。明らかにそこだけ視野が欠けていて。
窪田:網膜剥離の症状の1つ、視野欠損ですね。ほかに、目の端に小さな虫が飛んでいるような影が見える飛蚊症や、視野の中心や端がキラキラして見える光視症などがあります。
柿島:これは大変だ!と思って、次の日、近くのクリニックに行ったら、網膜剥離だと診断されました。すぐに大きな病院を紹介され、そこで「手術をしましょう」と。その間も、目の中の扇形はどんどん大きくなっていき、色も赤く変化していきました。
網膜剥離は治療が遅れると失明の可能性も
窪田:すぐに病院に行かれたのはよかったです。もし剥離が黄斑部に達すると失明してしまうので。黄斑部とは網膜の一部で、視力に影響する重要な部分です。柿島さんのように目の異常を感じたら、すぐに病院に行くことが大事です。

柿島:私も、医師から「もし黄斑部に達していたら、ほぼ見えなくなっていましたよ」と言われて、怖かったです。あとちょっとのところで間に合って、本当によかったなと。
その時、強度の近視が強いと、網膜剥離になるリスクが高まるという話を聞いたのですが、本当ですか?
窪田:本当です。近視になると、将来的に網膜剥離や緑内障など、失明につながる疾患になる可能性が高まります。私が子どもたちの近視対策を啓発しているのも、そうした疾患になるのを少しでも防ぎたいと思っているから。特に強度の近視があると、50代を過ぎてから目の疾患にかかりやすくなるのです。
柿島:実際に自分が網膜剥離になってみて、いかに目が大切かを実感しました。今なら窪田先生がおっしゃる、近視予防の重要性がとてもよく分かります。
網膜剥離の手術自体は1時間くらいで終わったのですが、その後が本当に大変で……。