罰ゲーム化する管理職で生き抜く術「部下の異変に気づいたらどうする?」――部下やチームを立て直す2つのアプローチ

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「すみません……。僕はフィードバックとハグ、多分どちらもできていなかったです。それも、花岡さんだけではなく、全員に対して」

フルさんはエスプレッソを一気に飲み干すと、一度上目遣いで僕を見やり、いつもの職業的な微笑みを見せた。

「それと、先ほど『いい買い物をした』と言いましたよね」

「……はい」

労働力を提供するのは「心」がある人間

「経営者は株式市場からお金を調達するように、あるいは卸売市場から原料や材料を仕入れるように、新卒市場や転職市場から労働力を集めてくる。それは事実です。しかし、労働力には、お金や原材料とは決定的に違うところがあります。労働力を提供するのは人間で、人間には心がある、ということです」

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「確かに、『買い物』というのはあまりよくない表現でした……」

「経営者にはどうしても、そうやって人をモノと同列に見るような力が働きます。株主の前では、ヒトもモノもカネも、全部数字で横並びになりますから」

「その方がいいと言う人もいますよね。時に非情な決断もしなくてはならない経営者は、共感力が人より弱いぐらいのほうがいい、と。フルさんはそうは思わない、ということでしょうか?」

「実際問題として、人はモノと同じではないですよね。例えば、コピー機は勇気づけなど一切しなくてもコピーを続けてくれますし、それが原因で壊れたりもしません。でも人は違います。私はこれまでいろいろな経営者と仕事をしてきましたが、後に名経営者と呼ばれるようになった人は、全員がそれをよく理解した情のある人でしたよ」

「そうでないと、結局はメンバーがついてこないのかもしれませんね。情に厚い人が、あふれる情を持ちながらも、時に情を押し殺した判断をする。そこに名経営者の凄みがある、ということなのかなと思いました」

◎フィードバックは軌道修正。メンバーが間違った道に進みそうになった時に、マネジャーがそれを正してあげること
◎ハグはそれの正反対で、メンバーが正しい道を進んでいる時に、それをエンカレッジして(勇気づけて)あげること
井上 大輔 OFFICE pianonoki代表

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いのうえ だいすけ / Daisuke Inoue

OFFICE pianonoki代表。ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディでマネージャーを歴任。ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズ統括本部 マーケティング本部長、ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 コミュニケーション本部 メディア統括部長などを経て現職。個人事業主としてマーケティングやマネジメントをテーマとした執筆・講演・企業研修などを行うほか、上場企業の執行役員としてマネジメントの実務にも現役で携わる。WASEDA NEO「早稲田マーケティングカレッジ」講師。

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